今回は、愛国カルトにかかわらず、嘘つきに騙されないための重要なポイントをご紹介します。「確証バイアス」です。


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確証バイアスとは、個人の先入観に基づいて他者を観察し、自分に都合のいい情報だけを集めて、それにより自己の先入観を補強するという現象のことです。 例えば、迷信深い人が、黒猫を見たとします。その日何か不幸なことがあったら、「黒猫を見たせいだ」と思い込んでしまうようなものが確証バイアスです。実際には黒猫を見ても不幸な目に合わなかった日や、黒猫を見てないのに不幸な目にあった日もあるはずなのですが、「黒猫」=「不幸」という概念が頭にあると、それを補強する情報ばかりが心に残ってしまうわけです。


黒猫程度なら大したことはありませんが、これが人種なんかになると、「偏見」や「差別」と呼ばれるようになります。例えば黒人が逮捕されると、白人も同じように逮捕されていても、「やっぱり黒人は怖い」と思ってしまうようなものですね。


愛国カルトの確証バイアスで多いものの一つは、外国人に対する確証バイアスです。特に激しいのが在日韓国朝鮮人に対する確証バイアスで、「凶悪犯罪の殆どは在日韓国朝鮮人によるもの」と思い込んでいる人も世の中にはいるのです。


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「凶悪犯罪者は在日朝鮮人と思えば間違いない」

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「凶悪犯罪と性犯罪と詐欺の殆どは朝鮮人による」

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「あの事件も、この事件も(在日が犯人)」

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「朝鮮人の殆どが東日本大震災を喜んでいた」
「日本で起こっている犯罪の殆どが在日による通名報道」


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「またまた在日韓国人ですか? なんで在日ってこんなに凶悪犯罪者が多いの?」


下2つのツイート(参照参照)なんて、まさに典型的な確証バイアスですね。東日本大震災に関しては、サッカーの試合で「東日本大震災をお祝いします」など非道なことを書いた垂れ幕を掲げた韓国人サポーターがいたのは事実ですが、そういう一部の非道な行動を見ることにより、確証バイアスが起きて、「『ほとんど』の韓国人が東日本大震災を喜んだ」なんて思い込んでしまうわけです。ちなみに韓国からも震災直後から義援金や義捐物資が届いており、韓国赤十字の災難関連募金額は、わずか2週間で過去最大に達しています(参照)。「ほとんど」が喜んだなんてのは確証バイアスによる思い込みです。


また、一番下のツイートにある柏の通り魔事件の犯人、竹井聖寿が、在日李聖寿だというのはデマです。もしも本当に在日朝鮮人だったら、必ずどこかのメディアが言及しています。しかし、読売や産経を含むあらゆるマスメディアで、一切そのような報道はありませんでした。逮捕第一報直後に「犯人は李聖寿」とツイートした人間がいることを考えると、2ちゃんねるなりツイッターなりの書き込みが拡散したようですね(参照参照)。


このように、在日韓国朝鮮人が逮捕されると「凶悪犯罪はやっぱり朝鮮人によるもの」という概念が確証バイアスによって強化され、そのような思い込みがあるため、デマまでも簡単に信じるようになってしまいます。


では、実際の数字を見てみましょう。確証バイアスなのか、実際に在日韓国朝鮮人による凶悪犯罪は多いのか。


警察庁のデータによりますと、平成24年度の場合、凶悪事件の検挙件数は5368件です。殺人963件、強盗2486件。放火822件。強姦1097件。(参照)。

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で、そのうち韓国朝鮮人全体によるものは、以下のようになっています(参照)。

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凶悪犯罪合計68件。殺人9件。強盗42件。放火8件、強姦9件。
在日韓国朝鮮人による数字を出すため、ここから来日韓国人によるものを引きます。

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凶悪犯罪合計14件。殺人2件。強盗7件。放火1件、強姦2件。


つまり、平成24年の在日韓国朝鮮人による凶悪犯罪は、累計54件。殺人7件、強盗35件、放火7件、強姦7件となるわけです。

まとめるとこんな感じ。

殺人強盗放火強姦合計
日本全体963248682210975368
在日犯罪7357754
割合
0.7%1.4%0.8%0.6%1.0%
(検挙件数)

ごらんのとおり、在日韓国朝鮮人による凶悪犯罪は、日本全体の1%程度にしかならないのです。

在日韓国朝鮮人の日本全体に占める人口の割合が0.5%弱であることを考えると1%でも多いと思われる人もいるかもしれませんが、わずか1人2人の増減でも数字が大きく動いてしまうので、ほとんど誤差範囲と言えるでしょうね。


これらの事実から、


「在日に凶悪犯罪が多い」
「凶悪犯罪の殆どは在日によるもの」

なんていうのは確証バイアスに過ぎない
ことがはっきりとわかります。


ちなみに、凶悪犯罪に限らず、刑法犯全体の検挙件数でも在日によるものは1%程度です(全体43万7612件。うち在日4530件。検挙されていない約90万件については不明)。


「在日には凶悪犯罪が多い」という思い込みを持っていると、在日による犯罪が1件報道されただけでも、確証バイアスが起きて、「やっぱり在日には凶悪犯罪が多いんだ」「凶悪犯罪の殆どは在日によるものなんだ」という思い込みがさらに強化されてしまうのです。


思い込み。これこそが愛国カルトのデマに騙されてしまう人たちの最大の要因でしょう。いえ、愛国カルトによるものに限らず、嘘やデマに騙されてしまう原因のなかで最大のものの1つが、この「確証バイアス」だと言っても過言ではありません。


例えば、振り込め詐欺に騙される心理にも確証バイアスが大きくかかわっています。「息子がピンチ」と思い込んでしまうと、怪しいことも全て脳内で合理化してしまうのです。
息子の様子がおかしくても、「慌てているんだ。やっぱり本当なんだ」と合理化。
生年月日や合言葉を答えられなくても、「それぐらい取り乱しているんだ。やっぱり本当なんだ」と合理化。
話につじつまが合わないことがあっても、「怪しい金に手を付けたんだ。やっぱり本当なんだ」と合理化。
このようにして詐欺に引っかかってしまうわけです。


先ほどの「竹井聖寿=在日・李聖寿」というデマについても、本来であれば新聞やテレビや警察による発表や報道が一切なければ「デマだ」と疑うべきなんですが、確証バイアスによって、逆に「マスコミ報道がない。マスコミが在日犯罪を隠しているんだ。やっぱり犯人は在日なんだ」となってしまうわけですね。


確証バイアスから逃れるのは大変困難です。できないからみんな詐欺にも騙されるのです。私も、例えばサッカーの試合で中東の審判による納得できないジャッジがあると、ついつい「やっぱり中東か!」なんて思ってしまいますが、多分これも確証バイアスに過ぎないと思います。中東審判以外でも誤診や怪しいジャッジはたくさんありますからね。


では、確証バイアスから身を守るためは、どうするべきか。


まず、「確証バイアス」という存在をはっきりと認識しましょう。人間は確証バイアスに非常に弱いものである、自分も引っかかりうると認め、自分が考えていることは単なる確証バイアスによる思い込みかもしれない、と疑うことです。特に「やっぱり」という言葉を使ったときは要注意です。


次に、調べましょう。確認しましょう。可能なら数字を見ましょう。
例えば今回の「在日韓国朝鮮人には凶悪犯罪者が多い」なんていうのは、数字を見れば間違いであることがわかります。
黒猫を見た日に不幸なことがあっても、「やっぱり黒猫を見ると不幸になるんだ」と思い込む前に、黒猫を見ないで不幸な目にあった日や、黒猫を見たけど不幸な目にあわなかった日がなかったかどうか思い返しましょう。
息子からお金を振り込んでくれと電話があったら、「確証バイアス」の存在を思い出して、息子に確認の電話を入れ直しましょう。


「確証バイアス」の存在をしっかりと認識すれば、愛国カルトにも別の嘘やデマにも騙されるリスクをぐっと減らせるはずです。自分が「やっぱり」という言葉を使ったら、「確証バイアスかも?」と疑いましょう。そして事実確認を行いましょう。事実が確認できなければ、「本当だ」と思い込むのはやめて、少なくとも人に広めるのはやめましょう。そうしないと、そのつもりがないのにデマの発信源になってしまいます。


「確証バイアス」。これこそ、ネット時代のデマに騙されないキーワードです。

===愛国カルトに騙されないための心得===
・確証バイアスの存在を自覚しよう。

・自分の感覚より客観的数字を信じよう。

・マスコミ報道も警察発表もないネットの噂を信じてはいけない。

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