「在日特権」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。本当に極々まれに勘違いされる人がいるようですが「在日特権法」と呼ばれるような法律があるわけではなく、在日韓国朝鮮人が持つ「特権」の総称です。


ところが、頻繁に使われる言葉の割に、インターネットスラングのようなものであるため明確な定義があるわけではありません。特別永住権のように「他の外国人より有利」というものを在日特権と呼ぶこともあれば、通名使用ように「日本人にない権利」を在日特権と呼ぶ人もいれば、生活保護のように「日本人と同じ権利」を持っていることを在日特権と呼ぶ人までいて、その定義は曖昧です。中には「年金を払わなくても受給できる」だの「NHK視聴料が免除」だのデマも多いので注意が必要です。


(※勘違いされがちですが、通名使用に国籍条項はなく、韓国朝鮮人に限られません。生活保護も同様です)


このように定義があいまいなため、権利でなくても、在日韓国朝鮮人に少しでも有利にはたらけば何でも「在日特権」と呼ばれてしまうのが現在の状況です。その最たる例が、センター試験の韓国語でしょう。


現在センター試験の外国語は、英仏独中韓から選ぶことができます。ここに韓国語が入っているのが在日特権であるという主張がネット上では数多くみられます。果たしてセンター試験で韓国語が入っているのは在日特権なのでしょうか?


結論から言わせてもらえば、大嘘ということになります。以下、理由を述べていきたいと思います。


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1.中高での教科名は「外国語」である


まず、中高学習指導要領での教科名は「英語科」ではなく「外国語科」です。平成24年実施の最新の学習指導要領では英語を原則とするとなりましたが、英語である必要はありません(高校学習指導要領)。

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↑学習指導要領での教科名は「外国語」であり、「英語」ではない

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↑英語以外の「その他の外国語」でも目標や内容に準じていれば良い


外国語教育の目標は「外国語を通じて、言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりするコミュニケーション能力を養う」ことです。これが達成できるのであれば英語である必要はなく、大げさな話、スワヒリ語でもパンジャーブ語でも南ンデベレ語でも構わないのです。(※南ンデベレ語…南アの地方言語)


つまり、センター試験でも本来どの外国語でも受けられてしかるべきなのです。しかし現実的にそれは不可能なので、数か国語に絞ってあるだけなのです。

2.韓国語はマイナー言語か



次に、韓国語をセンター試験に入れる意義についてですが、韓国語を「在日特権」だと呼ぶ人は下のような意見が多いようです。

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↑「ハングルは国際的言語でない」「ハングルは学術的に何の意味もない」(参照

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↑「超マイナー言語」だから韓国語はいらないと言う意見(参照

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↑「きわめてマイナーな韓国語」(参照

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↑「韓国語→ファ?」(参照

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↑「グローバル影響力」を根拠に韓国語の不必要性を説き、
 韓国語に重要度は「一切ない」と罵倒を始める人



つまり、「在日特権」だと言われる理由の一つが、韓国語が国際言語ではなくマイナー言語だからというものなわけです。彼らは「日本人差別」などという言葉まで使っていることから分かる通り、「日本の」センター試験に韓国語があることに憤っているわけですが、だったら「国際言語」とか「マイナー言語」とか言う前に、日本における重要度で考えるべきでしょう。


国や地域によって、特定の言語の重要度は違います。言うまでもなく日本では日本語が一番重要な言語ですし、ドイツではドイツ語、ケニアではスワヒリ語です。全世界規模の影響力・重要度と、特定地域での影響力・重要度は全く異なります。


もしグローバルな話だけで言うのならば、スポーツの世界でクリケットは世界第二位の競技人口をもつという推計もあります(日本クリケット協会)。野球は世界的に見たらマイナースポーツですが、じゃあ甲子園よりクリケットの大会を開けとあなたは言いますか? やはり日本での競技人口を根拠にしなければなりません。言語も同様に、日本における重要度や学習者数を考えましょう。


まず、訪日外国人数を見て見ましょう。2013年の訪日外国人は1036万人。そのうち23.7%が韓国人で、国別では1位です(※中国・台湾・香港は別として集計)


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参照


日本にいる外国人の数でも、中国人に次いで2位。日本にいる外国人の中では、訪日外国人としても、在日外国人としても、韓国人・中国人の数が多いのですから、韓国語・中国語の日本における重要度が低いとはとても言えないはずです。英語に次いで、中国語・韓国語の重要度が高いのは間違いないでしょう。


次に、国民の意識調査を見てみましょう。ロゼッタストーンが行ったアンケート(2010年)によれば、日本での調査では「今後50年で需要が高くなると思う外国語」第3位に韓国語が入っています。


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ごらんのとおり、アメリカの調査と日本の調査では全く異なる結果が出ていますね。アメリカの場合、ヒスパニック系住民を多く抱えるスペイン語の重要度が増すと考える人が多く、やはり中東問題の影響からか、アラビア語を重要視する声もあります。やはりフランス語はアメリカに対する文化影響力の問題でしょうか。旧フランス植民地であるルイジアナ州では今でもフランス語は小学校必修科目です。


日本では中英韓西のほか、経済的つながりが強くなるであろうインドのヒンディー語や、諸問題を抱える隣国であるロシア語がランクインしていますね。やはり、隣国の言語はランクインしやすいようです。


このアンケートからも、地域によって言語重要度が大きく異なることがわかります。世界規模で見てマイナーだとか重要度が低いからと言って、日本にとっても重要度が低いことを意味しません。


そして、日本における韓国語の重要度は、嫌韓の彼ら自身が証明しています


日本は韓国や北朝鮮と良い面でも悪い面でも様々な交流や問題を抱えています。だからこそ彼らは韓国批判をするわけです。だったら、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉がある通り、韓国や北朝鮮をよりよく知るのは日本にとって絶対重要課題なわけです。


嫌韓というのは裏を返せば韓国に強い興味関心を持っている、または持たざるを得ない状況にあるわけです。韓国語を分からずに、どうやって韓国と張り合うと言うのでしょう? 彼らの言うことがわからねば、彼らの批判さえできません。嫌韓の人たちだって、韓国語をわかる人が日本語で韓国や北朝鮮の状況を紹介してくれるからこそ嫌韓ができるわけです。嫌韓しておきながら日本における韓国語の重要度に気づいていないとは、論理性が欠如していると言わざるを得ません。


外交的面以外にも、貿易的観点からも韓国は輸出3位、輸入6位の相手国です。


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参照

輸出で韓国より上は米中だけ。輸入で韓国より上は中、米、豪、サウジ、UAEとなっています。貿易額で見ても、英語圏、中国語圏、アラビア語圏に次いで、韓国語相手の貿易額が大きいのです。


このような状況もあり、文科省も英語以外の外国語の教育を奨励しており、「我が国の国際化に適切に対応するためには,近隣のアジア諸国の言語をはじめ,英語以外の多様な外国語教育についても推進する必要があります」と発言しています(文科省HP)。今の日本の状況を考えたら、韓国語はマイナー言語どころか英語と中国語の次に重要な言語と言って過言ではないでしょう。


3.高校での履修者数は英中に次ぎ1万人以上


実際に英語以外の外国語を行っている高校は多数存在し、文科省によれば、平成24年で公立502校、私立209校、国立2校の合計713校が英語以外の授業を行っています(※多くの場合英語も行っている)。また、平成23年では中国語542校、韓国朝鮮語318校、フランス語222校となっています(文科省(41ページ参照))。つまり、現在韓国語を開設している高校は中国語に次いで多く、フランス語やドイツ語を大きく上回ります。そしてフランス語、ドイツ語の開設校数がほぼ横ばいなのに対し、韓国語開設校はこの10年で2倍以上に増えています。日本における韓国語教育は中国語に次いで多く行われているのです。


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↑高校における英語以外の外国語授業開設校数(文科省発表)


「どうせ民族学校だろ」と思われるかもしれませんが、このリストは文科省発表の、日本の高校のデータです。(そもそも朝鮮学校の高校課程(高級部)は現在11校しかありません(朝日新聞)。韓国学校を入れても15校程度です) 民団のリストによれば公立私立さまざまな一条校(普通の学校のこと)で韓国語教育が行われています(参照)。


ただ、これだけだと、授業だけ開設されていて、実際には学習者なんてほとんどいないんじゃないか、と言いがかりをつけてくる人もいます。しかし、文科省は高校での履修者数も出しています。(参照


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中国語22,061人
韓国語11,441人
フランス語8,959人
ドイツ語3,348人
(2014年5月)


授業開設校数でも履修者数でも、韓国語はフランス語を抜き、英語、中国語に次ぐ第3位です。


つまり、高校での外国語学習者数は、英・中・韓・仏・独がトップ5であり、それがそのままセンター試験科目になっているので、なにもおかしくはないのです。


スペイン語を入れろと主張するな解りますが、ドイツ語やフランス語より学習者数が多い韓国語を外せと言うのは、「在日優遇」という妄想に基づいた偏見でしかありません。


あと、「韓国語は学術的に何の意味もない」などという意見も先ほど紹介しましたが、現在さまざまな大学に韓国や朝鮮の研究室が存在します(例:東京大学)。最隣国である朝鮮半島の研究が「学術的に何の意味もない」などというのは、単なる無知を通り越して、偏見による発言以外の何物でもないでしょう。学問というものを何もわかっていない発言でしかありえず、日本全国の韓国朝鮮研究者に対する侮辱ですね。


4.母国語はずるいか



確かに在日韓国朝鮮人にとって韓国語は点が取りやすいでしょう。だからこんな意見↓を言う人もいます。

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(参照)

しかし、こういう意見は根本的に勘違いしています。


そもそも「外国語」とは、日本にとっての外国語という意味であって、受験生にとって外国語かどうかは関係ありません。もし受験生にとって「外国語」でなければいけないのなら、在日韓国人の生徒は「国語」の試験を韓国語で受けることになります。んなバカな。


それに試験は結果を見るものであり、必要なことは日本語以外の言語が理解できるかどうか。別に努力量を見ようとしているのではありませんので、受験者本人にとってそれが母語か外国語かなど一切関係ありません。母国語だから有利でずるいと言うなら、他の言語についても「帰国子女特権」とか「ハーフ特権」とか言うべきでしょう。


また、日本の現状を考えれば、ドイツ語やフランス語の方が重要度は低いでしょう。特にドイツ語の高校での開設数も韓国語の1/3にも過ぎず(韓国語318校、ドイツ語106校)、今どき医者のカルテも英語や日本語で書きますし、理数系論文も英語ですのでドイツ語の必要性は下がり続けています。ドイツ語がセンター試験にあることは問題視せずに、韓国語だけ問題視するのは明らかに単なる独善的な偏見にすぎないと言えます。


5.韓国語の平均点は不当に高いか



これまで見てきたように、韓国語が入っていること自体は特権でも何でもなく、日本の状況から当然と言えます。しかし、「在日特権」だと言う人たちの多くは、センター試験の韓国語の平均点が英語より非常に高いにもかかわらず、得点調整が行われていないということも問題視しています。はたしてこれはずるいでしょうか?


センター試験外国語の受験者数と平均点はこのようになっています(大学入試センターHP)。(※ただし、どういうわけか本来200点のところを100点満点に換算しているので、この2倍が実際の数字)

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s2
s3
これを200点満点に直したのがこちら(2倍しました)。

 英語ドイツ語フランス語中国語韓国語
平成14109.68102.14141.26150.3165.4
平成15126.82110.98131.56150.7170.96
平成16130.1142.56139.54147.96153.64
平成17116.18133.1132169.12158.12
平成18127.52155.84134.6170.56155.28
平成19131.08142.6141.12164.18147.54
平成20125.26135.18135.3146.36143.52
平成21115.02153.54138.96137.56167.76
平成22118.14150.12134.8138.02149.96
平成23122.78142.16142.38134.14149.88
平成24124.14144.1131.68154.08146.36
平成25119.14151.54150.58159.26140.28

数字だけ見てもわかりづらいので、グラフ化してみるとこうなります。

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↑平成14年(韓国語導入)以降の外国語平均点

見ての通り、韓国語の平均点が常にトップなわけではなく、韓国語が導入されたこの12年間で、韓国語平均点がトップになったのは、平成14年、15年、16年、22年、23年、24年の6年間、つまり半分です。今のところの最新データである平成25年の平均点ではドイツ語やフランス語よりも低いです。


また、英語が圧倒的に点数が低く、年によって韓国語の平均点が英語より50点前後も高かったことは確かにありますが(平成14年、15年、21年)、そもそも受験者数が違います。最新平成25年の場合、英語の受験者数が535,835人なのに対し、韓国語はわずか180人。受験者数に約3000倍もの違いがあるのです。


英語は猫も杓子も受けるわけで、50点も取れないような人でも受けますが、英語以外の言語を選択する人は、英語よりも自信があるから選ぶわけです。つまり上澄みだけが受験しているので平均点が高くて当たり前。事実、英語以外の言語は軒並み平均点が英語よりも高いです。これで英語と比べて平均点が高いからずるいだの得点調整しろだの言うのは、全く理にかないません。これで得点調整を行うのは、不勉強で英語の点数が取れない人に利するだけであり、逆に不平等でしかありません


そもそもセンター試験による得点調整は滅多に行われておらず、行われる用件は「平均点差が20点以上」で、「平均点の差の理由が難易差によると認められる場合」です(大学入試センター研究開発部)。この「平均点差20点」というのは100点満点の場合です。200点満点の外国語なら40点差が必要になるはずで、それに該当するのは平成14年、15年、17年、21年の4回。さらに英語と韓国語の平均点差は難易差によるものではないと想定されますので、得点調整が行われないのは当たり前です。


ドイツ語やフランス語と比べて得点調整をするなら、受験者数もほぼ等しいので理屈が通ります。しかし、センター試験では受験者数1万人以下の場合は得点調整は行われません(河合塾)。恐らくサンプル数が少なすぎるとデータが正確に出ないからでしょうね。この点からも、外国語の得点調整が行われないのは当然の帰結だと言うことができます。


6.在日韓国人は国公立に入りやすいか


韓国語平均点が英語より高いことから、このようなことを言う連中が数多く存在します。

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参照

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参照

彼らが言うにはセンター試験で韓国語があるから高得点が取れて、国公立に在日韓国人が多く、医学部や法学部、教育学部などにいけると言うのです。


何度も言いますが、大嘘です


文科省のデータ(参照)では、平成25年度で国立大学の学部生が447,973人。公立大学学部生が127,144人。合計で国公立大学の学部生数は575,115人。


一方、センター試験においてここ4年間での韓国語受験者数は661人。仮にこの全員が国公立大学に進んだとしても、最大で国公立大学生全体の0.11%、1000人に1人しかなりません。在日韓国人人口は日本人人口の0.5%弱ですので、そこから考えてもこの数字は少ないと言えます。しかもこれはセンター韓国語受験者が全員もれなく国公立大学に進んだと仮定した場合の話ですので、実際の数字はこれよりさらに少なくなります。


さらに言えば、平成25年の統計では、18歳の日本人人口は約1,211,000人(総務省統計局←リンク先下の方のエクセル参照)なのに対し、18歳の在日韓国朝鮮人人口は3,781人(総務省統計局←年齢・男女別総在留外国人数参照)。約0.31%です。一方で、センター試験の英語の受験者数は535,835人なのに対し、韓国語は180人。0.03%にすぎません。つまり在日韓国朝鮮人のおよそ9割はセンター試験で韓国語を選択していないのです。


これらの点から見て、センター試験に韓国語があるおかげで国公立大学に在日韓国人が多いなどと言うのは紛れもない大嘘なのです。


第一、韓国語でいい点を取ったからと言って、それだけで大学に入れるわけがなく、他の教科の成績だって必要です。二次試験もありますし、元々国公立や医学部を受験する人はセンター試験の英語平均点も高いでしょうから、格差はさらに小さくなります。

正直に申し上げて、センター試験に韓国語があるおかげで在日韓国人が国公立に多く入っているなんて言うのは、センター英語レベルで点を取れない勉強不足の人のやっかみ以上のものではありません。センターの外国語でちょっといい点とったぐらいで国公立にいけるわきゃないし、ましてセンター試験の英語程度のもので「日本人勝てるわけない」なんて言うのはアホすぎる。センター英語満点の日本人ぐらいいくらでもおるわい。

中には国公立や医学部どころか、こんなことまでいうどうしようもない人もいます。

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参照
>>試験で高得点を狙えるコリアンは日本の支配者になるの?


センター試験の外国語で高得点取っただけで日本の支配者になれるわけないだろ!!


こういうアクロバティックな論理展開をするトンデモさんを信じてはいけません。


7.まとめサイトのズル


最後に、少し話がずれますが、韓国語の平均点が不当に高い証拠として、下のグラフが2ちゃんねるまとめサイトを中心にネット上で流布しています(例1例2例3例4)。


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ごらんのとおり、平成21年(2009年)で止まっていますね。韓国語導入初年を除いて、英語との平均点差が最も開いた年です。


このグラフが最初にネットに出回ったのがいつごろかはわかりません。もしかしたら平成21年に作られたものかもしれませんが、このグラフが何年も経った平成25年や26年になっても使われています(参照1参照2参照3)。


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↑今年になっても平成21年までのデータで「逆差別」だの騒ぐ典型例


なぜ彼らは最新のグラフを作ってそれを使わないのでしょうか?


理由は2つ考えられます。


1つは面倒だから。結局彼らは自分で調べる努力をしないで、ネットの情報を鵜呑みにしてるってことです。興味があるのは結論だけ。その過程を検証したり、自分で考えたりする面倒なことはしたくないのです。自分に都合がいい結論が得られれば、その過程がデマだって厭いません


2つ目は都合がいいから。下のグラフで分かる通り、平成22年はドイツ語、24年と25年は中国語がトップで、韓国語は平均点トップの地位から落ち、平均点は落ち続けているのです。韓国がトップだった平成23年でもドイツ語やフランス語との左は10点もなく、平成25年に至ってはドイツ語、フランス語、中国語すべてに抜かれて4位です。これだと「韓国語の平均点が高くて在日特権だ」なんて言えなくなっちゃいますからね。


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↑平成21年以降の平均点。韓国語平均点は落ち続けている


このような事実を隠して平成21年で終わっているデータを使い続けると言うのは一種の印象操作でしょうね。このような印象操作を用いなくてはならないということは「センター試験韓国語は在日特権だ」という主張がただの言いがかりである証明の一つだと言えるでしょう。彼らには、是非ともこの21年から25年のグラフを使って「センター試験韓国語の平均点が高すぎる」という主張を続けてほしいものです。


結局のところ、まとめサイトや、そのデータを鵜呑みにしてコピペ拡散する人たちは、事実など重視しません。ただ韓国を叩く目的のために都合のいいものを利用するだけです。


8.結論 ~色眼鏡を外せ~


以上のように、韓国語は日本にとってはマイナー言語ではなく、重要度から言えば英語、中国語に次ぐものであり、実際の興味関心、学習者数で見ても中国語と並び、高校での授業開設数も中国語に並び、フランス語やドイツ語を上回ります。センター試験に入ることは必然だと言えるでしょう。スペイン語を入れろというのは話が通りますが、韓国語を外せというのはまったく理屈に合いません。


母語だからずるいというのは韓国語だけでなく他のどの言語にも言えることであり、韓国語にだけ言うのはまったく理屈に合いません。


そして、平均点の高さについては英語より高いのは受験者数の少なさから当たり前で、独仏中と比べた場合突出して高いとは言えず、平成25年においては他の3つの言語のいずれより平均点が下回っています。


結論として、どの点から見ても「センター試験韓国語は在日特権である」というのは言いがかり以外の何物でもないと断言できます。


先日センター試験やパチンコ経営が在日特権だと主張する人とツイッター上で議論した際、このように主張されました。


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「在日特権はあるんじゃないか、という目でインターネット等調べて」みると、このように在日特権などではないものまで在日特権に見えてしまうのです。一種の確証バイアスと言えるでしょう。


このような状態に陥らないためには、「在日特権はあるんじゃないか、という目で」ネット等を調べてみたりしないことです。「在日特権はあるんじゃないか」などという色眼鏡をかけないで、「在日特権が本当にあるかないかわからない」というところからスタートし、そもそも何が在日特権と呼ばれているのか、その主張が妥当かどうか、真実かどうか、根拠を調べてみることが大切です。


「○○はあるんじゃないか」という色眼鏡をかけた目で情報を集めるのではなく、「○○はあるかないかわからない」という点からスタートして情報を集めなければなりません。それで「ある」という主張と「ない」という主張の両方を見て判断することが重要なのです。それが愛国デマに限らず、様々なデマや怪しい勧誘に騙されないために必要な技術であり、日本の利益のためにも必要なのです。


==愛国カルトに騙されないための今日の心得==
・客観的な統計データを確認しよう。

・出来る限り最新情報を確認しよう。
 (データが途中どまりのものは印象操作かも)

・アクロバティックな論理展開をする人を信じてはいけない。
 (センター試験の外国語で高得点取ったぐらいで日本の支配者になれるわけないだろ)

・色眼鏡を外そう。
 
(結論のために後付で証拠を持ってきてはいけない)
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「在日特権」の虚構 増補版
野間易通
河出書房新社
2018-01-19


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