<今回のデマ>
  • 外国人犯罪は増加している。
  • これまで「来日外国人」の犯罪件数しか公表されておらず、在日外国人の犯罪件数は公表されてこなかった。
  • 在日外国人犯罪は日本人の犯罪としてカウントされて隠蔽されてきた。
<事実>
  • 外国人犯罪は10年間ほぼ一貫して減少しつづけている。
  • 警察は「外国人犯罪」と「来日外国人犯罪」を公表しており、「外国人犯罪」から「来日外国人犯罪」を引けば「在日外国人犯罪」の数がほぼ正確に出る。
  • 在日外国人犯罪が日本人犯罪としてカウントされているなんて事実は全く存在しない。別々に集計されていることは警察庁のデータを見れば明らか。
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自称通訳捜査官・坂東忠信の嘘


坂東忠信という名前を、私は今日読者の方に教えられて初めて知りました。どのくらい有名な人なのか知りませんが、元警視庁通訳捜査官だそうで、外国人犯罪についていろいろ述べているそうです。


ところが、驚きました。言ってることが間違いだらけなのです。元警視庁捜査官なのに、どうしてこんなことが起こりうるのか不思議でたまりません。


というわけで、彼の外国人犯罪についての意見について、根本的な間違いを1、2点指摘させてもらいたいと思います。


「外国人犯罪のうち、『来日外国人』の犯罪しか公表されていない」は嘘


まず、彼の根本的な間違いとして、「これまで外国人犯罪は、来日外国人のものしか公表されていなかった」というものがあります。


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(↑彼のブログから


彼は公表されていたのは「来日」のみで、「在日」についてはこれまで公表されておらず、今年衆議院議員長尾敬氏が警察庁に求めたことで、ようやく公表されたと述べています。長尾敬氏と言えば、百田氏が「沖縄の2紙はつぶさないといけない」と発言したあの自民党の会合で、「沖縄メディアは左翼勢力に完全に乗っ取られている」と発言した張本人です。どういう人物かは、お察しですね。


さて、この長尾氏が手に入れたという資料を基に、彼は、警察はこれまで在日犯罪を公表せず、来日外国人による犯罪だけを公表して、外国人犯罪を少なく見せかけてきたと主張します。警察がやばい実態を隠していた。本当はこんなにも外国人犯罪は多いんだ、と言うわけですね。

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しかしこれ、大嘘です!!


警察はずっと以前から、「外国人による犯罪」と、「来日外国人による犯罪」の2通りの統計を発表しています。
在日と来日を合わせた数を発表しており、「公表されていたのは『来日』のみ」とか、「外国人による殺人については、半数の犠牲者が隠されていた」とか、大嘘中の大嘘です。


とりあえず、インターネットで検索すれば、平成14年以降の外国人犯罪の資料は簡単に手に入ります。そこには「外国人による犯罪」と「来日外国人による犯罪」の両方が掲載されています。どうして元警視庁捜査官が、こんな私でも知ってることを知らないのでしょう?


平成14年の外国人犯罪

平成15年の外国人犯罪

平成16年の外国人犯罪

平成17年の外国人犯罪

平成18年の外国人犯罪

平成19年の外国人犯罪

平成20年の外国人犯罪

平成21年の外国人犯罪

平成22年の外国人犯罪

平成23年の外国人犯罪

平成24年の外国人犯罪

平成25年の外国人犯罪

平成26年の外国人犯罪

平成27年の外国人犯罪

↓平成14年の外国人犯罪資料。「来日外国人」と「その他の外国人」と、その「総数」がちゃんと書かれている
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「在日外国人」というカテゴリーでの発表はありませんが、「外国人による犯罪」の総数と「来日外国人による犯罪」は公表されており、引き算すればほぼ在日外国人の数字もわかります。


少なくとも、平成5年以降については、「外国人犯罪」の総数と「来日外国人による犯罪」は分けて公表されているので、「これまで外国人犯罪は、来日外国人のものしか公表されていなかった」とか「半数の犯罪(在日によるもの)が隠されていた」とか言う坂東氏の主張は、完全な間違いです


もと警察官が何をデタラメ言っているんでしょうね。


「外国人犯罪が増加している」も嘘


さて、坂東氏は「外国人犯罪が増加している」と主張しており、彼のブログの自己紹介文には、「外国人犯罪の増加と、これにつながる社会問題」なんて書いてあります。また、彼は 「外国人犯罪から日本を守る坂東忠信」とも自称しています。

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しかし、「外国人犯罪が増加している」というのも大嘘です。


平成5年以前はネット上にデータが存在していないのですが、それ以降の外国人犯罪はこうなっています。

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平成17年の4万3622件でピークを迎えた後、平成27年までの10年間、一貫して外国人犯罪は減り続けています。


平成27年の外国人犯罪検挙件数は1万6017件で、過去23年間で最低を記録しています。


検挙件数がこの23年間で最低である一方で、検挙人員はそれほど大きく減ってはいませんが、それでも全体として減少傾向にあるのは見てのとおりです。


坂東氏は特に中国人犯罪について特に懸念を示しているようですが、中国人犯罪の検挙総数(来日+その他の外国人)は、以下のように推移しています。

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来日中国人があれだけ増えている一方で、中国人による犯罪は平成17年のピーク時のおよそ1/3にまで減り、平成14年以降では過去最低です。繰り返し言いますが、これは来日中国人と在日中国人の両方を含んでおり、坂東が主張するように、在日外国人の犯罪を隠してなどいません。


韓国人犯罪の検挙件数も、ほぼ同様のイメージで下がり続けています。

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ごらんのとおり、平成27年はピーク時の半分以下、14年間では過去最低を記録しています。


ここで予想される反論として、これはあくまで検挙件数なので、外国人犯罪が巧妙になって捕まえられなくなっただけで、実際の数は増えているのではないか、というものがあります。


しかし、日本全体の犯罪の認知件数自体が、外国人犯罪とほぼ同様の傾向で下がり続けています。

平成14年の日本全体の犯罪

平成15年の日本全体の犯罪

平成16年の日本全体の犯罪

平成17年の日本全体の犯罪

平成18年の日本全体の犯罪

平成19年の日本全体の犯罪

平成20年の日本全体の犯罪

平成21年の日本全体の犯罪

平成22年の日本全体の犯罪

平成23年の日本全体の犯罪

平成24年の日本全体の犯罪

平成25年の日本全体の犯罪

平成26年の日本全体の犯罪

平成27年の日本全体の犯罪

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ごらんのとおり、認知件数自体が下がり続け、平成14年以降では過去最低となっています。そして、検挙率は毎年ほとんど変わりありません。


つまり、少なくとも平成18年以降の10年間では、
外国人犯罪の検挙件数も、
中国人犯罪の検挙件数も、
韓国人犯罪の検挙件数も、
来日外国人の検挙件数も、
在日外国人の検挙件数も、
日本全体の犯罪の認知件数
も、
ほぼ一貫して下がり続け、
平成27年は10年前のほぼ半分~1/3にまで減少し、ネットにデータが公開されている平成14年以降では過去最低を記録しているのです。


それにも関わらず、「外国人犯罪がー!」「中国人犯罪がー!」「韓国人犯罪がー!」とことさら強調し、しかも「外国人犯罪の増加」などと大嘘を吐くとは、呆れて開いた口がふさがりません。


犯罪には注意する必要がありますが、ことさら外国人犯罪を強調する必要などありません。坂東氏は「外国人犯罪から日本を守る」などと言っていますが、別に外国人犯罪に限定せず、普通に犯罪に注意すればいいのです。日本人か外国人かに関係なく、犯罪には普通に注意して、他人には普通に接しましょう。


↓外国人がやたら多い小学校に務めていた先生によるエッセイ漫画


イエス!となりの席は外国人
あらた真琴
ぶんか社
2015-07-01

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