この記事は2017/06/05の再掲です。
<ざっくり言うと>
  • 百田尚樹、自分を言論弾圧の被害者だと言いつつ、「保守系団体が左翼の言論を弾圧したことはない」と無知妄想を垂れ流す
  • 百田尚樹自身が「沖縄の2紙は潰さんといかん」と自民党の勉強会で講演し、そこで自民党議員からも「マスコミを懲らしめる」という発言が出たのは無視だろうか?
  • 右翼による社会党委員長殺害事件や、長崎市長襲撃事件を知らないのだろうか? 
  • 結局百田尚樹の判断基準は自分に都合がいいかどうかだけ。自分に都合のいい行為は「言論弾圧」ではないから保守系は「言論弾圧」をしていないように見えて、自分に都合の悪い行為は「言論弾圧」だから「サヨク系」ばかりが「言論弾圧」しているように見えるのである
↓自分は「言論弾圧されたー」と言いながら、「保守系の団体がサヨク系の人たちの言論弾圧をした例は見たことがない」という百田尚樹。「沖縄の2紙は潰さんといかん」とか言ってた奴が何を言っているのか。
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自分のこともわからぬ百田尚樹、自分を言論弾圧の被害者だと言いつつ、「保守系団体が左翼の言論を弾圧したことはない」と無知妄想を垂れ流す


最近、百田尚樹の公演が一橋大学で予定されていましたが、それに対して反対運動が起き、中止になりました。これについて、百田は以下のようにツイートしています。

実態はわからないものの、誰から聞いたか知りませんが、「聞くところによると」という不確かな伝聞情報をツイートするノンフィクション作家というのもすごいなあと思わされます。


実際に「サヨクの連中」から嫌がらせがあったかどうかは分かりませんが、このツイートに対し、長谷川豊という元フジテレビアナウンサーがエール。長谷川豊については次回に書きますが、百田は長谷川氏に対し、このようにツイートを返しました。

>>この国は、市民団体を標榜する組織による、言論弾圧がひどいです。
>>そして、そういう組織のすべてはサヨク系の団体です。
>>保守系の団体がサヨク系の人たちの言論弾圧をした例は見たことがありません。
お前が言うか、それ!?


どういう行為を「言論弾圧」と呼ぶかという問題がまずありますが、どうやら百田氏の中では、反対運動を起こして百田尚樹の講演を中止させることは「言論弾圧」に当たるようなので、「相手が発言できないように圧力をかけること」を「言論弾圧」と定義しておきましょう。


さて、以前、和田政宗が「保守系ユーザーは事実を調べ上げるけど、左翼系は事実無視する」という、事実を全く無視したことを言っていたことがありましたが(こちらの記事参照)、百田にしろ和田政宗にしろ、自称「保守」の連中は、自分たちの言動をどうもよく理解できていないようです。


そもそも(※)、百田尚樹自身「沖縄の二誌は潰さなあかん」と発言していたことを忘れたんですかね?(こちらの記事参照) 実際に百田氏が何か具体的な行動を取ったわけじゃありませんが、こんなこと言う人間が、よくもまあ「保守系は言論弾圧しない」なんて言えたものですね。このとき自民党の大西議員も「マスコミは懲らしめなきゃいかん」と発言していますね。国会議員がマスコミを懲らしめろなんて発言するのは、百田氏から見ると問題ないんですかね?

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保守・右翼による行動の具体的な例としては、例えば漫画『はだしのゲン』の図書館での閲覧制限がありました。練馬区などいくつかの自治体には「『はだしのゲン』の教育現場からの撤去を求める陳情」というものが提出されています(練馬区HP参照)。金沢市で護憲集会の広場使用許可が出なかったり、福井県が反原発団体に活動自粛を要請したりしていますが(参照)、百田はこういうのは「言論弾圧」って怒らないんですかね?

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古い話ですが、社会党委員長が右翼少年に殺害された事件もありましたし、1990年に長崎市長が襲撃された事件もありました。これは、天皇には戦争責任がある、と発言したために、右翼団体幹部に襲撃されたものです。これらなんて、右翼による言論弾圧の典型例じゃないですかね。さらに、最も有名な未解決事件の一つ「赤報隊事件」も右翼団体が朝日新聞に反発して起こしたものだと言われていますね。

↓右翼による社会党委員長殺害事件
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また、日本最大の保守系団体と言われ、安倍晋三を始めとする現在の安倍政権の閣僚のほとんどが入っている日本会議ですが、菅野完氏の著作『日本会議の研究』の販売差し止めを求めて裁判を起こしたり(菅野氏が勝訴)、菅野氏のもとに「ぶっ殺す」という脅迫電話がかかってきたりしているらしいですが(日刊ゲンダイ参照)、こういうのは百田氏の視点では言論弾圧にはならないんですかね?

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百田氏自身、「放送法順守を求める視聴者の会」という、最初っからテレビ局に圧力をかけることを目的としている団体の中心メンバーなのですが、こういうのはいいんですかね?


結局のところ、百田尚樹は自分に都合のいいか悪いかで「言論弾圧」かそうでないか判断しているわけです。だから、自分に都合のいい行為は「言論弾圧」ではないから、保守系は「言論弾圧」をしていないように見えて、自分に都合の悪い行為は「言論弾圧」だから、「サヨク系」ばかりが「言論弾圧」しているように見えるわけです。


どういうのが言論弾圧で、どういうのが正当な抗議活動なのか、その線引きは難しいですが、少なくとも「沖縄の2誌は潰さなあかん」(※「潰れてほしい」ではなく「潰さなあかん」である!)などと発言しながら、「保守系は言論弾圧しない」と発言できるような客観性の欠片もない人間に、「言論弾圧」に対して憤る資格などないでしょう。


次回は長谷川豊の「言論弾圧は存在しないけど、言論弾圧は戦前よりひどいよ」をお届けします。





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