<ざっくり言うと>
  • 主観と客観は区別せねばならない。
  • 「蓮舫が戸籍を開示しないと信頼できない」は主観である。しかし、それをあたかも蓮舫の戸籍開示が客観的義務で、その義務を怠っているかのように言う者は、主観と客観の区別がついておらず、信頼に値しない。
↓蓮舫の戸籍開示は「交通違反取締での『免許証提示』以上に当たり前」だと述べる小野寺まさる氏。しかし、蓮舫の戸籍開示を「当たり前」と思うのは主観であり、免許証の提示が「当たり前」なのは客観なのだが、その区別がついていないのである。
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昨年、蓮舫が二重国籍であったことが指摘され、説明に追われました。その蓮舫は二重国籍問題解消のため、戸籍謄本を開示する意思を示しました。これについては、「一般人の出自による差別を助長する」という批判的な意見もあれば、「野党第一党党首なのだから説明責任がある」という意見もあります。




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毎日新聞


国籍法では、第14条で国籍選択の義務が記されている一方、第16条では、国籍を選択したら「外国の国籍の離脱に努めなければならない」と記されており、国籍離脱は努力義務に留めています。よって、外国籍の離脱をしていなくても、法に触れるわけではありません。


もちろん、国会議員の資格でも、日本国籍であることは条件になっていても、多重国籍であることを禁止する項目はありません。なので、現状でも法的な問題があるわけではありません。


よって、後の問題は、蓮舫を信用できるかどうか、という主観の問題になります。


通常であれば、公人であっても戸籍のような、政治と関係ない個人情報の開示を強要することがあってはなりません。しかし、「戸籍を開示しない蓮舫を信頼できない」主観的に感じるのは個人の自由です。「蓮舫の戸籍開示は当然だ」主観的に思うことも、個人の自由です。


しかし、問題は、それを客観的義務と勘違いしている人がいることです。


元自民党北海道議員の小野寺まさるや、現役の維新の会国会議員である足立康史は、以下のように述べています。

>>国籍が疑わしい国会議員の戸籍謄本開示は、
>>交通違反取り締まりでの「免許証提示」以上に当たり前の事

>>蓮舫は野党第一党の民進党代表だから
>>二重国籍疑惑について戸籍謄本を開示すべき!
>>普通の日本人で国会議員なら戸籍謄本を開示し
>>日本への忠誠を明らかにするのが義務!


戸籍開示が免許証提示義務と比べたり、戸籍を開示して日本への忠誠を明らかにするのが義務だとか言ってますが、足立康史や小野寺まさるの何がおかしいかというと、主観と客観の区別がついていないという点です。


そもそも蓮舫が日本国籍を持っていることは国会議員に立候補できる居る時点で明らかです。既に述べた通り、蓮舫の二重国籍は、犯罪でもなく、政務と関係なく、国会議員の資格とも関係ありません。あとは、蓮舫を信頼できるかという主観の問題です。


「多重国籍者の国会議員なんて信頼できない」というのは主観です。


「戸籍を開示して多重国籍を解消したことを証明しない蓮舫を信頼できない」と感じるのも主観です。


結局のところ、これは蓮舫を信頼できるかどうかという主観の問題であり、蓮舫を信頼しないというのは勝手です。蓮舫が戸籍を開示せず、そういう人たちからの信頼を得ないというのも勝手です。これはプライベートの問題で、政務と関係ありませんからね。


ところが、小野寺まさるは、「蓮舫を信頼できない」という主観と、交通違反取締での免許証提示という客観的義務とを混同しています。


免許証なしで運転をすれば、それは法に触れる行為であり、客観的な義務を怠った犯罪行為です。一方、戸籍開示は客観的な義務ではなく、あくまで小野寺まさるが「二重国籍かもしれない奴など信頼できない」という主観に基づいた判断にすぎません。


小野寺まさるが、蓮舫の戸籍開示を「当たり前」と思うのは主観であり、免許証の提示が「当たり前」なのは客観です。小野寺まさるは、自分の主観と、客観との区別がうまくついていないのです。


足立康史も同様です。足立康史は「普通の日本人で国会議員なら戸籍謄本を開示し日本への忠誠を明らかにするのが義務」などと言っていますが、結局のところ、「帰化した人間など信頼できない」という主観(それも差別的な)に基づいて発言しているだけのことです。


第一、「普通の日本人で国会議員なら戸籍謄本を開示」するのが義務なら、足立康史も戸籍謄本を開示する義務を負うはずです主観的に、私は足立康史が日本への忠誠を誓っているか怪しいと思いますから、足立氏は戸籍謄本を開示してくれるはずですよね? まあ、戸籍謄本の開示と日本への忠誠と、何の関係があるのかさっぱりわかりませんが。


そもそも。日本国憲法第14条ですべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とあるので、「帰化人だから戸籍を開示しろ」なんてのは、憲法に反すると思うんですけどね。客観的に。


結局のところ、どこまで行こうが、これは蓮舫の信頼の問題です。


「帰化人は信頼できない」というのも、「戸籍を開示しない蓮舫は信頼できない」というのも、蓮舫を信頼できるかどうかという主観です。


しかし、小野寺まさるや足立康史のように、それがあたかも客観的義務であり、蓮舫がその客観的義務を怠っているかのように述べるのは、卑怯な印象操作と言わざるを得ません。


今回の蓮舫の国籍開示についても、「国籍を開示しないと、俺はお前を信頼しない」と、主観を主観として語るならいいんですが、「国籍開示は免許証提示より当たり前だ」「国籍を開示して日本への忠誠を示すのは国会議員の義務だ」など、主観と客観を区別しないでの稚拙な暴論は国会議員や地方議員としての資質を疑わざるを得ません。


別に私は民進党支持者でも蓮舫支持者でも何でもないですが、個人的には、二重国籍だろうが何だろうが、そんなことは政務と関係ないのでどうでもいいと思っています。一方で、それを主観的に気にする人がいても、賛成はしなくても理解はしますし、「蓮舫は信頼できない」と言うのも、「国籍を開示して、事実を述べていることを証明してほしい」と言うのも、主観的意見としては理解します。


しかし、主観と客観の区別もつかずにもっともらしく見えるだけの暴論を吐く人間は、絶対に信頼したくないし、議員として全くふさわしくない人間だと、主観的に感じております。


最低限、主観と客観の区別ぐらいつく人に議員についてほしいなと思っております。


==余談==

小野寺まさるは、おっと、小野寺まさる氏は、呼び捨てにされると怒ります。





他人を呼び捨てにしない。立派な心掛けです。

「蓮舫は」

あ、あれ?

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