<ざっくり言うと>
- 「特攻隊がいたから今の平和がある」という考え方が、今の平和を壊す。
- 今の平和があるのは、特攻隊がいたからではなく、若者を特攻隊に送り出すような狂った国家が潰れたから。
- 特攻隊の死を無駄と認めることが、特攻隊の死を無駄にしない唯一の方法である。
↓「特攻隊がいたから今の平和がある」などとデタラメ妄想を垂れ流す右翼
教育勅語とか、安田純平氏の「自己責任」論だとか、書きたかったことはたくさんあるんですが、たまたまこんなツイートが目に飛び込んできたので書きます。ネトウヨの代表格DAPPIが、ネトウヨの代表番組虎ノ門ニュースをツイートしています。
(DAPPIが凍結されて動画が見られ無くなっているので、どんな番組内容だったかは番組非公式ブログを参照のこと)

井上和彦「73年前に若い人達が日本を守ろうとしたことを忘れてはいけない」
— DAPPI (@take_off_dress) 2018年11月7日
志方俊之「特攻隊は無駄死という教育がされてるがそうではない。特攻隊がいたからこそ今の平和がある。その精神を自衛隊は受け継いでる」
こういうことをメディアや学校は伝えるべきだと思います pic.twitter.com/obYPG4prhM
「特攻隊がいたからこそ今の平和がある」とか、もうこの使い古された特攻隊美化論はいい加減にしてもらいたいです。
特攻に向かった人たちの気持ちについては、「本当は嫌だったはずだ」とか「心の底から日本のために死のうと思っていた」とか、我々が推測しても水掛け論になるだけでしょう。私の場合は、もし彼らが本当に「心の底から日本のために死のうと思っていた」としたら、それは美化するべき話ではなく、「恐ろしき洗脳教育」と考えますが。
それはそうと、特攻隊がいたから今の平和があるとは、どういうことなのでしょう? 特攻隊がいなかったら、今の平和はないのでしょうか? 特攻隊が米国に大打撃を与え、日本が戦争に勝利することで平和が得られたのならそういうことを言う人がいておかしくないでしょうが、実際には特攻隊による米国の被害は微々たるものでしたし、日本は戦争に負けたのですから、特攻隊のおかげで今の平和がある、特攻隊が無かったら今の平和がない、なんてことは原因と結果の結びつきが全くおかしいですね。
いまだに特攻隊を美化し、「特攻隊の人たちのおかげで今の平和がある」と思っている一部のバカにはっきりと言っておきたいと思います。
今の日本が平和なのは、若者を特攻隊に送り出すような、大日本帝国という狂った国家が潰れたからです。特攻隊員のお陰で日本が平和なのではなく、特攻隊員を送り出すような組織、国がなくなったから、平和なのです。そこんところ勘違いしてはいけません。
志方俊之は、特攻隊の精神が今の航空自衛隊に受け継がれているとか言って、それをDAPPIも称賛してメディアや学校は伝えろとか言ってますが、こいつらの脳内だと、今の自衛隊は、戦争が起きたら特攻隊を組織して送り出すんですかね? 誇ることじゃなくて、危険なことだと思うですが…。
DAPPIや井上和彦(注:声優ではない!)や志方俊之は、特攻隊は無駄死にではないと言いますが、特攻隊を「無駄死にではない」「意味があった」「彼らのお陰で今の平和がある」などと言う人は、同じことを繰り返すでしょう。だって、無駄ではなく、意味があって、そのおかげで平和になったんだとすれば、何度でもそれを繰り返しますよ。そうやって再び戦争がはじまるんでしょうね。
特攻隊の死を無駄にしないためには、彼等の死が無駄死にだと認めることです。彼らの死が無駄死にだと認めるからこそ、二度とそんなことは引き起こさないという決意が生まれ、非戦に向かえるのです。逆説的ですが、彼等の死を無駄と認めることが、彼等の死を無駄にしない唯一の方法なのです。
「特攻隊がいたから今の平和がある」
こんなことを言う奴が、今の平和を壊すのです。気をつけましょう。
↓関連記事。特攻隊を賛美し、「不戦ではなく『次は勝つ』という誓いが必要」と言う戦争大好き極右・西村幸祐。こういう人間が国を亡ぼすのだ
↓「特攻隊のおかげで日本人は戦後GHQに虐殺されずに済んだ」という意味不明なファンタジー歴史を語る石平太郎。こういう人間は百害あって一利なし。
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コメント
早期に降伏しても、アメリカは地政学的に非常に美味しい沖縄に米軍基地を置いたり、不平等な日米地位協定を強いられるシナリオは変わらないと予想するけど、
コメ欄の皆さんの意見をお聞きしたい。
元整備兵で本当は墓まで沈黙を守るつもりだったが余命いくばくもなくなり、腰が抜けたり失禁している特攻隊員を無理矢理出撃させたという話を明かした方がいるが、この話はその特攻隊員を貶める訳ではなく逆に「今から数時間後には絶対死んでこい」と言われた理性知性ある人間として自然な反応だと思う。そういう点は無かった事にして特攻を美談にまとめ上げ肯定的に捉える連中は記事にも有るとおり又同じ事をやるだろう。自分は安全地帯にいながら。
死神GT-Rさん
>早期に降伏しても、アメリカは地政学的に非常に美味しい沖縄に米軍基地を置いたり、不平等な日米地位協定を強いられるシナリオは変わらないと予想するけど、
コメ欄の皆さんの意見をお聞きしたい。
変らないと思いますけど特攻含め戦死者はもっと少なくて済んだし沖縄戦も原爆も無かったので大きな意味があると思います。残念ながら歴史にIFはありませんけど。
勝てるわけのない戦争に挑んだこと自体が間違いだし、当時の日本の指導者・軍部(戦争支持した国民も)は無能・低能。アジアとアメリカ向けて二正面作戦するとか馬鹿じゃねえのとしか。というわけで、早期に降伏するとか以前に、戦争を起こすべきでは無かった。
>>仮に大日本帝国が史実ほどとち狂っておらず、
を見落としていました。私が無能でしたね。
こういう勇ましくて耳に心地よいことを言う連中は、部下を特攻に送り出しておいて自分は逃げ延び天寿を全うした人たちの精神的子孫なんだろうね。
仮に大日本帝国が史実ほどとち狂っておらず、
↑それは絶対にあり得ません。
日帝は明治維新の頃から既に狂っていました。
そもそも、欧米や韓国のように名も無き市民が主体となって起こした革命ではなく、権力者が武士階級から天皇とその取り巻きに変わっただけで、市民からすれば何の恩恵もないものでしたからね。
そして天皇中心の国を作るために、廃仏毀釈や神道の国教化(=この時点で日本はイスラム過激派を批判できませんね)、自由民権運動や大正デモクラシーへの弾圧、江華島事件以降の日本の帝国主義や植民地主義、教育勅語や明治憲法の押し付け(=市民の自由や権利を守る気がない=反民主主義そのもの)、治安維持法など平和主義者や民主主義者を弾圧する法律、関東大震災における韓国系への虐殺、女性や非差別の方々を攻撃する法律、天皇制ファシズム、これらの帰結として太平洋戦争とその敗北があったわけですから、史実ほど狂っていないなんてことは、あり得ません。
太平洋戦争限定で言えば、>>2さんや>>3さんがおっしゃる通りですね。
特攻を持ち上げる人って「軍艦を◯◯隻沈めた(でも戦艦空母はなし)」とか「日本を追い詰めると危険と思わせた」とか計測不能な精神論に逃げたり戦略的に意味合いの薄い論に逃げてるよね
終盤はパイロットが未熟になった上に対策もされてそんなに脅威じゃなくなった特攻アメリカ軍が単なる体当たりなんて恐れる訳もない
今の憲法や日米同盟のおかげで日本は平和になったけど、その成立に特攻は無関係
特攻隊員は完全なる無駄死にをさせられた犠牲者であり、追悼すべきであって礼賛などしてはいけない
言っていいというか「そうとでも考えないと辛い」でしょうけど
戦後に生まれ、平和を享受しながら、戦争を戦略シミュレーションゲームの一つとしか思ってない人に間違っても口にして欲しくないです