<ざっくり言うと>
- 俳優の佐藤浩市が映画で演じた総理役で、原作にはない「ストレスに弱くてすぐにお腹を下す」という設定を付け加えたことについて、百田尚樹らが「安倍総理を揶揄している!」「病気の人たちを笑いものにしている」「許せない!」と騒ぎ、大炎上。
- そもそも「ストレスに弱くてすぐにお腹を下す」という設定が、安倍総理をモデルにしているのかはわからない。
- しかも、実際のインタビューを読んでみると、総理を嘲笑しているどころか、むしろ映画では立派な総理像が描かれていることが示唆されている。もしもこの総理が安倍総理をモデルにしているのなら、「すぐにお腹を下すという身体的弱点を抱えながらも、国のため、民のために奮闘する立派な総理」という、安倍称賛設定と読み取ることだってできる。これで「佐藤浩市が安倍総理を揶揄」と言うのは、明らかなデマ、曲解。
- おそらくネットで騒いでいる人の大半は、もとのインタビュー記事を読まずに、「ストレスに弱くてすぐにお腹を下す」という箇所だけツイッターなどで知り、勝手に「安倍総理を揶揄している」「病気の人達を嘲笑している」などと脳内で妄想したものと思われる。
- 百田尚樹は確実にインタビュー記事を読まずにツイートしている。
- 騒ぐ前に、ツイッターで流れてきたものを鵜呑みにせず、せめてもう少し慎重になり、もう少し頭を使ってほしいものである。
百田尚樹に阿比留瑠比、いつものデマゴーグ
俳優の佐藤浩市が今月公開のかわぐちかいじ原作の映画『空母いぶき』で総理役を演じました。その佐藤氏が、5月10日発売の『ビッグコミック』誌上のインタビューにおいて
「最初は絶対やりたくないと思いました(笑)。いわゆる体制側の立場を演じることに対する抵抗感が、まだ僕らの世代の役者には残ってるんですね」
「彼(総理)はストレスに弱くて、すぐにお腹を下してしまうという設定にしてもらったんです」
と発言したことで、ツイッター上で大炎上しています。この「すぐにお腹を下してしまう」総理という設定が、安倍晋三を揶揄していると批判されているのだそうです。
どうやら、このブログでも何度も取り上げた産経の阿比留瑠比がfacebook上で取り上げ、それを百田尚樹がさらに取り上げたことで、大炎上したようです。

(↑阿比留のfacebook)
特に、百田尚樹は
「三流役者が、えらそうに!!」
とキレて、「『もし今後、私の小説が映画化されることがあれば、佐藤浩市だけはNGを出させてもらう』と、絶縁宣言を叩き付けた」そうです。

(↑三流紙東スポに載った三流作家百田尚樹の記事)
他にも、小川榮太郎の安倍晋三礼賛本を出版した幻冬舎の代表取締役社長の見城徹なんかもこれに便乗。とにかく、ネット上で、百田尚樹を鵜呑みにするような連中を中心に大炎上を巻き起こしたようです。(こんなメディア人とは思えないバカが代表取締役社長やってるなんて、幻冬舎は大丈夫なのか?)
とにかくツイッターを探せば、キリがない量同じ批判が見つかり、当然のごとく在日認定まで起こる始末。佐藤浩市さんは大好きな俳優だった。しかし、これは酷い。見過ごせない。こんなことを言うんなら、断るべきだった。佐藤浩市さんの要求を飲んだ製作側も情けない。
— 見城 徹 (@kenjo_toru1229) 2019年5月12日
もちろん、こういう人たちへの反論も少しは存在し、「仮に安倍総理を揶揄したものであったとしても、もともと小説や映画は権力を揶揄するものだ」という意見もあるようです。しかし、それはそれでその通りですが、今回の場合、原作マンガがありまして、原作ファンで安倍ファンの人からすれば、「役者が自分の政治信条で原作を改変して私物化した! 許せん!」ということなのでしょう。しかも、ただ政治信条というわけではなく、病気を嘲笑するために改編したのなら、たしかに許しがたいことです。
私だって好きな原作が映画化されるときに、勝手にスタッフの政治信条で改変されたら怒るでしょうし、病気の人を嘲笑するような改編であれば、なおさらです。
でも、こう言わねばなりません。
「佐藤浩市が安倍総理を揶揄」とか言って怒っているバカは、脳みそを新しいものと取り替えてこい!
はっきり言って、頭が悪すぎる。尋常じゃないぐらい頭が悪いと思う。なんでそこまで頭が悪くなれるのか、正直想像がつかない。「在日」とか「反日」とかいってるやつらに至っては、もはや頭が悪いとかそんなレベルじゃない。本当にホモサピエンスの脳を持っているのかどうか疑いたくなる。
佐藤浩市は、在日だよね‼️
— りっくん (@rick_195530) 2019年5月14日
佐藤浩市は完全に在日同胞! https://t.co/FlmFNTVs87
— 照晨 (@horishan14) 2019年5月13日
佐藤浩市が反日で、在日朝鮮人かと知り、大嫌いになりました。良い役者でもなく三流役者のくせに、反日だけ威勢良く、日本から把握出て行ってくれる日を切に願います。反日は普通は日本人にとって最大の敵ですからね。 https://t.co/tHj41HlvEI
— 今井絵理子 議員辞めろ!神戸市民として市会議員の良質な人を応援!区別を差別とすり替える政治反対 (@houdounouso) 2019年5月13日
実際のインタビュー記事
佐藤浩市のインタビューは、わずか半ページに過ぎないもので、全文は以下のようなものです。

ーー総理大臣役は初めてですね。これでどうやって「安倍総理を揶揄」と読みとれるの!!??
佐藤:
最初は絶対やりたくないと思いました(笑)。いわゆる体制側の立場を演じることに対する抵抗感が、まだ僕らの世代の役者には残ってるんですね。でも、監督やプロデューサーと「僕がやるんだったらこの垂水総理をどういう風にアレンジできるか」という話し合いをしながら引き受けました。そしてこの映画での少し優柔不断な、どこかクジ運の悪さみたいなものを感じながらも最終的にはこの国の形を考える総理、自分にとっても、国にとっても、民にとっても、何が正解なのかを彼の中で導き出せるような総理にしたいと思ったんです。
ーー総理は漢方ドリンクの入った水筒を持ち歩いていますね。
佐藤:
彼はストレスに弱くて、すぐにお腹を下してしまうっていう設定にしてもらったんです。だからトイレのシーンでは個室から出てきます。
ーー劇中では名実ともに「総理」になっていく過程が描かれます。
佐藤:
これはある政治家の人からきいたのですが、どんな人でも総理になると決まった瞬間に人が変わるっていうんです。それぐらい背負っていくものに対する責任を感じる、人間というのはそういうものなんですね。
ーーこの映画からどのようなものを受け取ってもらいたいですか。
佐藤:
僕はいつも言うんだけど、日本は常に「戦後」でなければいけないんです。戦争を起こしたという間違いは取り返しがつかない。だけど戦後であることは絶対に守っていかなきゃいけない。それに近いニュアンスのことを劇中でも言わせてもらっていますが、そういうことだと僕は思うんです。専守防衛とはいったいどういうものなのか、日本という島国が、これから先も明確な意思を提示しながらどうやって生きていかなきゃいけないのかを、ひとりひとりに考えていただきたいなと思います。
騒いでいる連中の中で、この短い全文を読んでから発言している人が何人くらいいるんですかね? 読まずにブチ切れているのなら言論人面なんてする資格はないし、読んだうえで言っているのなら、三流未満の超低レベルな読解力の持ち主と言わざるを得ません。
佐藤浩市が入れたという「ストレスに弱くてすぐにお腹を下してしまう」という設定が、安倍総理をモデルにしたのか、このインタビューだけではわかりません。絵面とか、キャラ付けとかで考えたということも考えられます。長い原作漫画と違い、2時間という短い中でキャラ付けをしないといけない映画は、原作にないキャラ設定が加えられることなど珍しくないですからね。そもそも安倍総理の病気である潰瘍性大腸炎は、ストレスと無関係じゃないですが、「ストレスに弱くてすぐにお腹を下してしまう」という病気のわけじゃないんですけどね。
仮にこの設定が安倍総理をモデルにしていたとして、その総理が情けないダメダメ総理でバカにされるクズな存在として描かれていたり、「ストレスに弱くて腹を下す」ことが滑稽で嘲笑の対象となっていたりすのなら、「安倍総理を揶揄している!」とか「同じ病気で苦しんでいる人たちに失礼だ!」という批判も、まだわかります。しかし、佐藤浩市はこう答えているのです。
>>最終的にはこの国の形を考える総理、
>>自分にとっても、国にとっても、民にとっても、
>>何が正解なのかを
>>彼の中で導き出せるような総理にしたいと思った。
どう読んでも肯定的ですし、インタビュアーも「名実ともに『総理』になっていく」役だと述べています。
もしも「ストレスに弱くてすぐにお腹を下してしまう」という設定の総理大臣が安倍総理をモデルにしているのなら、むしろ「ストレスに弱くてすぐにお腹を下してしまうという弱点を抱えながらも、国や国民にとって何が正解なのか、この国の形を考え奮闘する、立派な総理」という、安倍総理称賛設定と読み取ることだってできるのです。(もちろん、そう読み取ることもできるというだけで、そうだと言ってるわけじゃないですよ)
「ストレスに弱くてすぐにお腹を下してしまう」という設定が加えられたというだけで、そこだけ切り取り、安倍総理を揶揄したものだとか病気を嘲笑しているだとか決めつけ、勝手な妄想を膨らませネットで大騒ぎする…。普段から「マスゴミの切り取り!」とか言ってるような連中がこれなんだから情けない。少なくとも、ホモサピエンスレベルの読解力があるなら、このインタビューから、安倍総理を揶揄したり病気を嘲笑したりしているなんてことは読み取れません。
ネットで騒いでいる連中の大半はインタビューを読まずに、ツイッターで流れてきた一文だけ見て「許せん!」とか言ってるんでしょうね。知能をどこに捨ててきたんでしょう?
ここに書く
先日も、石平太郎が「一国の総理に対して『安倍君』と言うのは傲慢。人間としての基本が何もできていない」とまで言っていましたが(そのくせ本人は「習近平君」とか言ったりする。(参照))、真偽も確かめないままこんなにも騒ぐってのは、連中、安倍総理を神聖不可侵な存在だとでも思ってるんじゃないですかね?
そもそも「ストレスに弱くて腹を下す」という設定が安倍総理をモデルにしたかどうかというのがわからないし、仮に安倍総理をモデルにしたとしても、その病気が映画の中で嘲笑されていたり情けない惨めな総理として描かれたりしているならともかく、「自分にとっても国にとっても民にとっても何が正解なのか、この国の形を考える総理」としているのに、ネットで阿比留や百田が喚いたら、自分の脳みそを使わずにそれをそのまま鵜呑みにして、真偽も確かめずに便乗して騒ぐ連中。その姿はやはり「カルト」という表現にふさわしいものだと言えましょう。
人間ならば、せめて、ツイッターで流れてきただけのものを鵜呑みにして「許せない!」などとキレて拡散せず、もう少し慎重に、もう少し頭を使いたいものです
追記:百田尚樹の愚劣ツイート
原作は好きやけど、映画は絶対観ない!! https://t.co/XatYWdE2tj
— 百田尚樹 (@hyakutanaoki) 2019年5月12日
三流役者が、えらそうに!!
— 百田尚樹 (@hyakutanaoki) 2019年5月12日
何がぼくらの世代では、だ。
人殺しの役も、変態の役も、見事に演じるのが役者だろうが! https://t.co/UReRTd6KNe
最初のツイートは、阿比留のfacebookをツイートしたものをさらにツイートした孫引き。2番目のツイートも孫引き。そして、三番目のツイートでは「下痢する弱い首相にしてくれ」なんて、インタビュー記事に書いてないことを勝手に妄想。伝言ゲームみたいに内容が変わってる。こいつがインタビュー記事を一切読まずにツイートしていることは間違いありませんね。「空母いぶき」の原作は素晴らしい!
— 百田尚樹 (@hyakutanaoki) 2019年5月12日
しかし映画化では、中国軍が謎の国に変えられているらしい。それだけでも不快だったのに、「下痢する弱い首相にしてくれ」という一役者の要求に、脚本をそう変えたと聞いて、もう絶対に観ないときめた。
百田尚樹は佐藤浩市氏を三流役者なんて言っているけど、インタビュー記事を読まずに批判している百田尚樹は、何なんですかね?
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