<ざっくり言うと>
- 今回の検察庁法改正案の定年延長には、A「全員の定年を63歳から65歳に引き上げる」B「定年を迎えた者でも内閣が必要と認めれば最大3年定年を先延ばしできる」の2つがある。
- 問題となっているのは上記のBの方である。
- 高橋洋一氏はAだけを取り上げこの法案が問題ないかのようにごまかしている。(もしくはBのことを理解していない)
- Bはこれまで40年間違法とされてきたものであり、それを可能にしなければならない根拠がないが、高橋洋一氏はそれには触れない。
- 高橋洋一氏は「検察官だけ定年延長ができないと、検察官から『不当な差別だ』という意見が出るかもしれない」などと妄想しているが、そんな事実は全く存在しない。
- 高橋洋一氏の検察庁法改正正当化発言は、全く問題を理解していない出鱈目である。
↓はてなブックマーク&ツイートをお願いします。
Tweet
(本ブログのスポンサードリンク)
「#検察庁法改正案に抗議します」というタグに400万以上のツイートが投稿されているそうです。これについて、加藤清隆だの黒瀬深だのが、「安倍政権を貶めようとするパヨクの陰謀論だ」などとのたまっています。そして、安倍政権のブレーンと言われた高橋洋一氏がこんなことを言って、ツイッターのトレンドにまで入っていました。
>>公務員の定年は年金支給開始年令に連動したもので、
>>定年引き上げは20年くらいからの既定路線。
「公務員全体の延長の話」というのはウソではないんですが、高橋氏は明らかに問題をごまかしているます。今回の問題は、単純に定年を63歳から65歳に引き上げるって点じゃなくて、勤務延長(定年延長)なんです。問題をおさらいしておきましょう。
高橋洋一氏が理解しているのか理解していないのか判断つかないのですが、今回の「定年延長」には2つの異なる意味が混在して使われています。
A:60歳(検察官は63歳)の定年を65歳に引き上げること。(全員に適応される)
B:定年を迎えて本来退職するはずのものを、内閣が必要と認めた場合に、引き続き勤務させること。(内閣が認めた個人に適応される)
Aは全体の定年の引き上げであり、Bは個人の定年の引き上げです。このうち、Aはそこまで大きな問題ではありません。問題はBです。話題の黒川弘務検事長の「定年延長」は、こちらのBのほうです。お気に入りの個人だけを長く任用できる可能性が出てきたというのが問題なのです。
どうも高橋氏は、この2つを区別せず「定年延長」という言葉を使うことで、あたかもこの法案がAだけの法案であるかのように見せかけ、問題があるBの方をごまかそうとしているように思えます。(単純に理解していないだけの可能性もあるけど)
本来であれば、Aのほうは「定年引上げ」Bの方は「勤務延長」などと呼んで区別するほうがいいんですが、困ったことに、メディアでもネットでも、AとBどっちも「定年延長」と呼ばれてしまっているのです。問題はAの方ではなくBの方だと理解してください。
前回記事でも説明しましたが、安倍政権は「官邸の守護神」とまで呼ばれるほど安倍政権べったりだと言われている黒川弘務検事長の勤務を半年間延長しました(上述の「定年延長B」の方)。現在の検事総長が7月に退官する見込みであるため、これにより、本来今年2月に退職するはずだった黒川検事長が検事総長になる可能性が浮上したわけです。
(※検事長の定年は63歳だが検事総長の定年は65歳であるため、定年を半年延長してその間に黒川氏を検事総長にしてしまえば、黒川氏は65歳まで退職せずに検事総長を続けられる)
さて、ここで問題なのが、黒川氏の勤務延長の法的根拠です。安倍政権は黒川検事長の勤務延長を、国家公務員法第81条の勤務延長規定を適応したと説明したのですが、1981年の人事院事務総局任用局長の答弁で、「国家公務員法第81条の勤務延長規定は、検察官には適応されない」ことが明確に述べられているのです。
つまり、安倍政権が行った黒川検事長の勤務延長は違法行為なのです。
ところが、この違法性を指摘された安倍政権は、「実は法律の解釈変更をしたから問題ないんだ」と言い出しました。これが嘘であることは前回記事でも述べたとおりです。なんといっても、安倍晋三が「法解釈変更を行っていた」と言い出したのは今年2月13日。その前の2月10日時点で森法務大臣は1981年の人事院の答弁を「把握していない」と述べていましたし、2月12日には人事院の松尾恵美子給与局長は、1981年の人事院の解釈につき「現在まで同じ解釈を続けている」と述べています。「法解釈をあらかじめ変更していた」という安倍晋三の答弁が虚偽答弁であることは誰の目にも明らかです。
1億歩譲ってこの閣議決定前に法解釈を変更していたとしても、「内閣の都合で法解釈を自由に変更できる」となれば、国会の法改正も経ずに、今日の違法が明日は合法に、今日の合法が明日は違法になってしまいます。政治の継続性が確保できず、もはやそんなものは近代国家ではありません。
さらには驚くことに、安倍政権は、法解釈変更の決済を口頭で行ったと述べ、文書など作らなくても口頭決済も正式な決済だと強弁しました。これがまかり通るなら、ありとあらゆることが後から「口頭決済したんです」でまかり通ることになります。もはや近代国家ではありません。法治国家の体を成しておらず、中世の独裁国です。
安倍政権はこれまでも人事を掌握することで、思うがままに振舞ってきました。しかし、今回の検事長の定年延長問題は、人事のみならず、近代国家としての建前さえ破壊する暴挙なのです。
さて、前述通り、検察官には国家公務員法の勤務延長規定は適応されないとされてきました。それは、政治家の汚職を調べて起訴する権限まで持つ検察官は、政治からの独立性が求められるからです。
つまり、国家公務員法の勤務延長規定を検察官には適応しないのは、検察官の政治的中立性を担保するためのものことであるわけで、ここを内閣が自由にいじることができるとなると、検察官の政治的中立性が揺らいでしまうわけです。今、まさにそのような事態が起きているのです。
高橋氏は、本当に理解できていないのかわざとなのか知りませんが、この検察庁法改正を「法案を読めば、検察官だけではなく公務員全体の定年延長の話」だといい、反対している人は法案を読んでいない、理解していないと批判しています。
しかし、私に言わせれば、高橋氏こそ法案をまるで理解していない。
なぜなら、前述のとおり、政治的中立性を担保するために、検察官の定年は他の公務員の定年とは分けて考えられるべきであり、公務員全体の定年延長の話に合わせて検察官の定年まで改正してしまうことこそ問題だからです。
単純に検察官の定年は63歳から65歳に引き上げるってだけなら、大した問題ではないでしょう。しかし、問題は、これまで検察官に適応されてこなかった勤務延長の規定を、検察官にも適応できるようにしようとしているとことなのです。
これまでは検察官は勤務延長がなかったわけですが、この法改正が通れば、役職定年や定年を迎えても、内閣や法相が必要と認めれば、最長で3年間、そのポストにとどまれることになります。つまり、時の政権の思惑によって、政権にとって都合のいい人物が長期間、検察組織を動かすという事態も起こり得るのです。
それだけではありません。
「政権に都合のいい人物は、定年を3年間延長してもらえる」
「政権に都合の悪い人物は、定年を延長してもらえない」
となれば、自ら検察に都合のいい検察官になって定年延長を狙う人物が現れることでしょう。これが忖度と呼ばれるものです。人事権を掌握し、政権に都合のいいものを厚遇することで、直接命令しなくても、勝手に相手が自分のために動いてくれる。追及されても「命令なんかしていません」と言える。最強の手法です。
今回、安倍政権は自分にとって都合のいい黒川弘務氏の勤務を半年延長することで、彼を検事総長にしようとしていると言われています。このような政権に都合のいい人事を日常的に可能にし、自ら政権に都合のいい検察官になろうとする者を増やすのが、今回の検察庁法改正なのです。検察の政治的中立性が破壊しかねない暴挙なのです。
高橋洋一氏は、今回の定年延長は「今回の特定人事と無関係」と言っています。だから安倍政権のご都合主義の陰謀じゃないのだと。
そもそも黒川氏の人事と無関係じゃないんですが(参照)、「今回の特定人事と無関係」というのは「今回の特定人事だけでなく、これからはどんな時でも、検察官の定年を政権の都合で自由に延長できるようになる」という意味であり、特定人事以上の大問題なんです。
黒川氏の人事はそれはそれで法治国家の原則を揺るがす大問題なんですが、今回の法改正は、黒川氏の人事の話だけで終わらないからもっと大問題なんです。特定人事の話で終わらず、恒久的にできるようになるからさらに問題なんです。「今回の特定人事と無関係」と擁護している高橋洋一氏は、問題点を何にも理解せずに論を展開しています。
さらに、高橋氏は、こんな妄想まで炸裂させています。
>>検察官から不当な差別との意見が出かねない。
>>著名人は全国家公務員の定年延長に反対なのかな
ここでも高橋氏は、定年引上げの話だけして、勤務延長の話を隠しています。年金が65歳からになる以上、定年を65歳に引き上げることはわかりますが、反対している人たちはそこに反対しているのではなく、定年を迎えたのにさらに最長3年勤務を延長できる制度に反対しているのです。
というわけで、高橋氏の説明が、Share News Japanというデマサイトが引用するなどして、ツイッターのトレンドにまでなってしまいましたが、その説明全くの嘘に塗り固められています。きっと、高橋氏は、本当に勤務延長のほうを全く理解しておらず、この法案が定年引上げだけだと思い込んでいるのでしょう。
自分が法案の何が批判されているのか全く理解していないのに、法案を批判している人たちを「法案を理解していない」と言えてしまうのだから恐れ入ります。
簡単にまとめましょう。
今回のことでも高橋氏が碌に調べもしないで偉そうに解説するタイプの人間であることが分かると思います。彼のことは決して信頼しないで下さい。
↓ブログ運営のための応援の支援をお願いします
OFUSEで応援を送るTweet
↓1日1回押さないと真の愛国者になれなくなってしまう呪いのボタン
Tweet
これまでの検察庁法改正案関連記事
目次
自分こそ問題点を全く理解していないくせに、他人のことを「理解していない」と批判する高橋洋一
「#検察庁法改正案に抗議します」というタグに400万以上のツイートが投稿されているそうです。これについて、加藤清隆だの黒瀬深だのが、「安倍政権を貶めようとするパヨクの陰謀論だ」などとのたまっています。そして、安倍政権のブレーンと言われた高橋洋一氏がこんなことを言って、ツイッターのトレンドにまで入っていました。
>>法案を読めば、検察官だけではなく公務員全体の定年延長の話。どれだけの著名人が実際に法案を見たのか知りたい笑。法案を読めば、検察官だけではなく公務員全体の定年延長の話。公務員の定年は年金支給開始年令に連動したもので、定年引き上げは20年くらいからの既定路線。というと、法務省人事の問題という声もあるが、法案には人事なんてどこにも書いてない
— 高橋洋一(嘉悦大) (@YoichiTakahashi) May 10, 2020
>>公務員の定年は年金支給開始年令に連動したもので、
>>定年引き上げは20年くらいからの既定路線。
「公務員全体の延長の話」というのはウソではないんですが、高橋氏は明らかに問題をごまかしているます。今回の問題は、単純に定年を63歳から65歳に引き上げるって点じゃなくて、勤務延長(定年延長)なんです。問題をおさらいしておきましょう。
用語解説:2つの「定年延長」
高橋洋一氏が理解しているのか理解していないのか判断つかないのですが、今回の「定年延長」には2つの異なる意味が混在して使われています。
A:60歳(検察官は63歳)の定年を65歳に引き上げること。(全員に適応される)
B:定年を迎えて本来退職するはずのものを、内閣が必要と認めた場合に、引き続き勤務させること。(内閣が認めた個人に適応される)
Aは全体の定年の引き上げであり、Bは個人の定年の引き上げです。このうち、Aはそこまで大きな問題ではありません。問題はBです。話題の黒川弘務検事長の「定年延長」は、こちらのBのほうです。お気に入りの個人だけを長く任用できる可能性が出てきたというのが問題なのです。
どうも高橋氏は、この2つを区別せず「定年延長」という言葉を使うことで、あたかもこの法案がAだけの法案であるかのように見せかけ、問題があるBの方をごまかそうとしているように思えます。(単純に理解していないだけの可能性もあるけど)
本来であれば、Aのほうは「定年引上げ」Bの方は「勤務延長」などと呼んで区別するほうがいいんですが、困ったことに、メディアでもネットでも、AとBどっちも「定年延長」と呼ばれてしまっているのです。問題はAの方ではなくBの方だと理解してください。
問題のおさらい:黒川検事長勤務延長による法治主義・文書主義の破壊
前回記事でも説明しましたが、安倍政権は「官邸の守護神」とまで呼ばれるほど安倍政権べったりだと言われている黒川弘務検事長の勤務を半年間延長しました(上述の「定年延長B」の方)。現在の検事総長が7月に退官する見込みであるため、これにより、本来今年2月に退職するはずだった黒川検事長が検事総長になる可能性が浮上したわけです。
(※検事長の定年は63歳だが検事総長の定年は65歳であるため、定年を半年延長してその間に黒川氏を検事総長にしてしまえば、黒川氏は65歳まで退職せずに検事総長を続けられる)
さて、ここで問題なのが、黒川氏の勤務延長の法的根拠です。安倍政権は黒川検事長の勤務延長を、国家公務員法第81条の勤務延長規定を適応したと説明したのですが、1981年の人事院事務総局任用局長の答弁で、「国家公務員法第81条の勤務延長規定は、検察官には適応されない」ことが明確に述べられているのです。
斧政府委員
検察官と大学教官につきましては、現在すでに定年が定められております。今回の法案では、別に法律で定められておる者を除き、こういうことになっておりますので、今回の定年制は適用されないことになっております。
第94回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 昭和56年4月28日
つまり、安倍政権が行った黒川検事長の勤務延長は違法行為なのです。
ところが、この違法性を指摘された安倍政権は、「実は法律の解釈変更をしたから問題ないんだ」と言い出しました。これが嘘であることは前回記事でも述べたとおりです。なんといっても、安倍晋三が「法解釈変更を行っていた」と言い出したのは今年2月13日。その前の2月10日時点で森法務大臣は1981年の人事院の答弁を「把握していない」と述べていましたし、2月12日には人事院の松尾恵美子給与局長は、1981年の人事院の解釈につき「現在まで同じ解釈を続けている」と述べています。「法解釈をあらかじめ変更していた」という安倍晋三の答弁が虚偽答弁であることは誰の目にも明らかです。
1億歩譲ってこの閣議決定前に法解釈を変更していたとしても、「内閣の都合で法解釈を自由に変更できる」となれば、国会の法改正も経ずに、今日の違法が明日は合法に、今日の合法が明日は違法になってしまいます。政治の継続性が確保できず、もはやそんなものは近代国家ではありません。
さらには驚くことに、安倍政権は、法解釈変更の決済を口頭で行ったと述べ、文書など作らなくても口頭決済も正式な決済だと強弁しました。これがまかり通るなら、ありとあらゆることが後から「口頭決済したんです」でまかり通ることになります。もはや近代国家ではありません。法治国家の体を成しておらず、中世の独裁国です。
安倍政権はこれまでも人事を掌握することで、思うがままに振舞ってきました。しかし、今回の検事長の定年延長問題は、人事のみならず、近代国家としての建前さえ破壊する暴挙なのです。
なぜ検察には勤務延長が認められていないのか
さて、前述通り、検察官には国家公務員法の勤務延長規定は適応されないとされてきました。それは、政治家の汚職を調べて起訴する権限まで持つ検察官は、政治からの独立性が求められるからです。
検察官は行政組織の一員であると同時に、刑事訴追の権限をほぼ独占する「準司法官」でもある。社会の公正を保つ立場として、政治的中立性が求められる。そのため、一般の公務員とは任免の取り扱いが異なるべきだと考えられてきた。検察庁法に定年延長の規定は設けられず、国家公務員法の定年延長規定も適用されないとの解釈が続けられてきた。
(毎日新聞5月11日)
つまり、国家公務員法の勤務延長規定を検察官には適応しないのは、検察官の政治的中立性を担保するためのものことであるわけで、ここを内閣が自由にいじることができるとなると、検察官の政治的中立性が揺らいでしまうわけです。今、まさにそのような事態が起きているのです。
「検察官だけではなく公務員全体の定年延長の話」←それこそが問題だ
高橋氏は、本当に理解できていないのかわざとなのか知りませんが、この検察庁法改正を「法案を読めば、検察官だけではなく公務員全体の定年延長の話」だといい、反対している人は法案を読んでいない、理解していないと批判しています。
しかし、私に言わせれば、高橋氏こそ法案をまるで理解していない。
なぜなら、前述のとおり、政治的中立性を担保するために、検察官の定年は他の公務員の定年とは分けて考えられるべきであり、公務員全体の定年延長の話に合わせて検察官の定年まで改正してしまうことこそ問題だからです。
単純に検察官の定年は63歳から65歳に引き上げるってだけなら、大した問題ではないでしょう。しかし、問題は、これまで検察官に適応されてこなかった勤務延長の規定を、検察官にも適応できるようにしようとしているとことなのです。
これまでは検察官は勤務延長がなかったわけですが、この法改正が通れば、役職定年や定年を迎えても、内閣や法相が必要と認めれば、最長で3年間、そのポストにとどまれることになります。つまり、時の政権の思惑によって、政権にとって都合のいい人物が長期間、検察組織を動かすという事態も起こり得るのです。
それだけではありません。
「政権に都合のいい人物は、定年を3年間延長してもらえる」
「政権に都合の悪い人物は、定年を延長してもらえない」
となれば、自ら検察に都合のいい検察官になって定年延長を狙う人物が現れることでしょう。これが忖度と呼ばれるものです。人事権を掌握し、政権に都合のいいものを厚遇することで、直接命令しなくても、勝手に相手が自分のために動いてくれる。追及されても「命令なんかしていません」と言える。最強の手法です。
今回、安倍政権は自分にとって都合のいい黒川弘務氏の勤務を半年延長することで、彼を検事総長にしようとしていると言われています。このような政権に都合のいい人事を日常的に可能にし、自ら政権に都合のいい検察官になろうとする者を増やすのが、今回の検察庁法改正なのです。検察の政治的中立性が破壊しかねない暴挙なのです。
「今回の特定人事と無関係」と正当化する高橋洋一。それがさらなる問題だと全く分かっていない愚
高橋洋一氏は、今回の定年延長は「今回の特定人事と無関係」と言っています。だから安倍政権のご都合主義の陰謀じゃないのだと。
国家公務員定年延長の経緯。2008年国家公務員制度改革基本法中に65歳まで定年延長は盛り込まれている。その後2回の人事院意見申出、3回の閣議決定を経て現在にいたる。長期間議論されてきたが、基本は年金支給開始年令引き上げと連動。この経緯からみても今回の特定人事と無関係
— 高橋洋一(嘉悦大) (@YoichiTakahashi) May 10, 2020
そもそも黒川氏の人事と無関係じゃないんですが(参照)、「今回の特定人事と無関係」というのは「今回の特定人事だけでなく、これからはどんな時でも、検察官の定年を政権の都合で自由に延長できるようになる」という意味であり、特定人事以上の大問題なんです。
黒川氏の人事はそれはそれで法治国家の原則を揺るがす大問題なんですが、今回の法改正は、黒川氏の人事の話だけで終わらないからもっと大問題なんです。特定人事の話で終わらず、恒久的にできるようになるからさらに問題なんです。「今回の特定人事と無関係」と擁護している高橋洋一氏は、問題点を何にも理解せずに論を展開しています。
「延長しないと検察が怒る」という高橋洋一の妄想
さらに、高橋氏は、こんな妄想まで炸裂させています。
>>もし検察官だけ定年延長できないと、検察官だけ定年延長に反対。今は検察官などは国家公務員法ではなく特別な法律で定年が決まっているけど、これは歴史的経緯。本来は同じ法律で決めるべき。もし検察官だけ定年延長できないと、検察官から不当な差別との意見が出かねない。著名人は全国家公務員の定年年長に反対なのかな
— 高橋洋一(嘉悦大) (@YoichiTakahashi) May 10, 2020
>>検察官から不当な差別との意見が出かねない。
>>著名人は全国家公務員の定年延長に反対なのかな
ここでも高橋氏は、定年引上げの話だけして、勤務延長の話を隠しています。年金が65歳からになる以上、定年を65歳に引き上げることはわかりますが、反対している人たちはそこに反対しているのではなく、定年を迎えたのにさらに最長3年勤務を延長できる制度に反対しているのです。
というわけで、高橋氏の説明が、Share News Japanというデマサイトが引用するなどして、ツイッターのトレンドにまでなってしまいましたが、その説明全くの嘘に塗り固められています。きっと、高橋氏は、本当に勤務延長のほうを全く理解しておらず、この法案が定年引上げだけだと思い込んでいるのでしょう。
自分が法案の何が批判されているのか全く理解していないのに、法案を批判している人たちを「法案を理解していない」と言えてしまうのだから恐れ入ります。
まとめ
簡単にまとめましょう。
- 検察官は政治からの独立性を保つために、他の国家公務員の勤務延長(定年延長)は適応されない
- 今回の法案は、検察官にも国家公務員の勤務延長(定年延長)を適応できるようにしようというのが問題
- 高橋氏は「国家公務員法全体の定年延長の話だ」と言って正当化するが、国家公務員法全体の定年延長の話を、検察官にまで適応しようというのが問題だとわかっていない。
- 高橋氏は「この法律は今回の特定人事と無関係」と言って正当化するが、今回の特定人事だけで話が終わらないことがさらなる問題
今回のことでも高橋氏が碌に調べもしないで偉そうに解説するタイプの人間であることが分かると思います。彼のことは決して信頼しないで下さい。
↓ブログ運営のための応援の支援をお願いします
OFUSEで応援を送るTweet
↓1日1回押さないと真の愛国者になれなくなってしまう呪いのボタン
コメント
「円安上等。1ドル300円でも誰も文句言うはずない」
経済学者の高橋洋一さん主張 『正義のミカタ』#円安 #正義のミカタ #高橋洋一 https://t.co/wpPW9vinsg
— 中日スポーツ (@chuspo) May 4, 2024
↓
いや、文句言うわ。高橋は一体どんな生活を送っているのだろうか?電気もガスも使わず、輸入品は買わないのか?
⭕️「 円安で交易条件(円の購買力)は大きく悪化した。特にエネルギー価格が上がったので、生活が苦しくなった。
短期的には大企業の海外法人がもうかるが、日本には帰ってこない。長期的には原材料コストが上がり、海外投資の原資(円)が減価するのでGDPは上がらない。 」pic.twitter.com/Tpdn1r2s3J
— 池田信夫 (@ikedanob) June 24, 2024
↓
市民生活は圧迫され、輸出産業が叩き出す分のGDPは上がらない(インバウンド需要などは別口だけど)。
高橋は安倍応援団を続けるうちに、経済がどう動くかもわからなくなったのかもしれない。
この歩くデマゴーグはほんとどうにかなんないかな・・・