<ざっくり言うと>
- 「日本国史学会」はまともな歴史学会ではなく、歴史修正主義者のサークル活動。
- 会長である田中英道は、「日本は太平洋戦争で負けていない」「日本は原爆実験に成功していた」「秦の始皇帝はユダヤ人」など、とてつもないファンタジー史観の持ち主である。
- 発起人の一人である竹田恒泰も、「日本は民間人が戦争の攻撃対象になったことがない」などと謎の歴史観の持ち主である。
- こんな「我ガ国ファンタジー」な人たちをありがたがっていてはいけない。

↑驚くべき超絶歴史を次々と繰り出す「日本国史学会」会長・田中英道
「日本国史学会」は「学会」を名乗っているだけのただの歴史修正主義者のサークル活動
「日本国史学会」を名乗る連中が、あいちトリエンナーレについて「国民の心情傷付けた」と声明を出し、それを産経新聞が報じ、ネトウヨ連中がわんさか喜ぶという構図が起きました。例えば、ネトウヨ区議の吉田康一郎は「やっとまともな学会が出てきた。歓迎します」とか言っています。
やっとまともな学会が出てきた。歓迎します。
— 吉田康一郎 (@yoshidakoichiro) June 10, 2020
あいちトリエンナーレは「国民の心情傷付けた」 日本国史学会が声明 2020.6.9 産経https://t.co/I93u4OJm4h
「日本国史学会」なんて言うと、なんかオフィシャルなすごい立派な団体かと勘違いしてしまいますが、日本歴史学協会にも加盟していなければ、日本学術会議の学会名鑑にも登録しておらず、その実態はただの歴史修正主義者のサークル活動です。
あまりにも頭がおかしい「日本国史学会」の妄言の数々
その会長は田中英道という男なのですが、「田中英道」で検索すると、いきなりとんでもない動画に出会うことができます。「秦の始皇帝はユダヤ人であった」というものです。

↑「秦の始皇帝はユダヤ人だった」と拓殖大学で講演する田中英道
もうタイトルだけで頭がクラクラしますが、動画の冒頭から、
「日本は原爆実験に成功していた」
「日本は太平洋戦争に負けていない。敗戦していない」
などと言い出すのです。
他にも、動画や著作で
「真珠湾攻撃は、日本の共産化を目指したルーズベルト大統領が仕掛けた」
「ルーズベルトはソ連支持の共産主義者」
「広島・長崎への原爆の投下は、日本を社会主義化する計画の一端」
「沖縄戦ではアメリカ軍の方が敗北感を抱いた」
「太陽が昇る国『日本』を目指して人類は発展した」
「縄文文明は『世界四大文明』とは異次元レベルで秀でていた」
「縄文時代の日本は世界最初の文明国家だった!」
「16500年前の日本で、日高見国という国がつくられていた!太陽が最も近い、文明最先端の地へ、世界中から人がやってきていたことは想像に難く無い」
「土偶は近親相姦による先天的障害児を象った」
などなど、正気を疑いたくなる発言を次々としています。
さらに、どうやらこの人はユダヤ陰謀論者でもあるようで、代表理事挨拶でも
「テレビ・新聞の全てのメディアがユダヤ人の牙城」
「インターネットを技術的に牛耳っているのはユダヤ人」
「トランプ政権の閣僚のほとんどはユダヤ人」
「西洋の国家論は、もともと国家否定のデイアスポラ・左翼ユダヤ人学者が作ったもの」
「グローバリゼーションは左翼ユダヤ人の仕業」
などと、ユダヤユダヤ言いまくっています。著書『世界史の中の日本 本当は何がすごいのか』では、冒頭から「欧米の歴史家はほとんどユダヤ人」と言ったり、マルクス主義を「ユダヤ人歴史観」とか言ったりしています。なんなんですかね、この何でもかんでも、秦の始皇帝までユダヤ人にしてしまう感覚は。
こんなのが会長をやっている団体が「まともな学会」に思えますか? 見えるとしたら脳みそがまともじゃないので、脳のCT撮ってください。
竹田恒泰の妄想も妄想サークルの一員
さらに、発起人の一人に竹田恒泰が入っています。竹田もご存じのとおりファンタジー歴史観の持ち主で、「日本は2671年間、民間人が戦争の攻撃対象になったことはなく、悠久の平和のなかで比類なき文化を築いてきた」とか言えちゃうような男です。こいつの脳内では、太平洋戦争はなかったのでしょうね。
もし僕が歴史教科書の巻頭言を書くなら「我が国は、建国から2671年の歴史を持つ、現存する国家の中で世界最古の国家である。しかも、民間人が戦争の攻撃対象になったことはなく、悠久の平和のなかで比類なき文化を築いてきた。君たちには、夢と志を持つ日本の歴史を学んでもらおう」
— 竹田恒泰 (@takenoma) February 10, 2011
他にも、聖徳太子の時代に元号があったと思っていたり、
「中国は仮名を生み出さなかったから、日本人の方が巧みに漢字を使ってきた」とか言い出したりするやつです。
よくネトウヨさんは韓国の歴史観を「ウリナラファンタジー」と言いますが、この自称「日本国史学会」の歴史観こそ、「我ガ国ファンタジー」ですよ。
「あいちトリエンナーレ」をどう評価するにしても、こんな奴らの発言をありがたがってちゃダメでしょ。これをあたかもまともな学術学会であるかのように報じる産経の報道は、フェイクニュースですな。
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コメント
孔子が人肉を食べていた、とか。これは知識もですが、国語の読解能力の問題でもあります。これを講演していた人もいます。
中文の原典が読めなくても、中島敦『弟子』を読んでみてください。ネットの青空文庫に収録されているかもしれません。
日本に神代文字があったとか。学生時代、担当教授がい笑って言っていました。
「そんなバカなことを言う人の言うことをきいてはいけません。音韻額の研究でとっくにそのインチキはバレて、否定されています」。
日本史研究者を標榜している人が、大化の改新のきっかけになった乙巳(いつし)の変を「おつみ」の変といっていたり。乙巳は干支なんですけどね。
戦前の日本は英語教育や英語の使用が禁止されていたとか。わたしの両親はちゃんと学校で英語を勉強してきて、母の兄は通訳をやっていました。
ガソリンの一滴は血の一滴
パーマネントはやめませう
エンヂンの音轟轟と♪ (加藤隼戦闘隊)
野球の場面で「ストライク」 (昭和十九年十二月東宝映画「電撃隊出動」)
太宰治『津軽』中には英語ほかカタカナ語がどっさり。(昭和十九年出版)
時代はちがいますが、李白は漢人ではなく中東系だとはいわれています。
実在する歴史、文化とは関係ありません。
私は西洋美術史概論の一受講者であったに過ぎませんが、彼のその後の言動を見聞きするのは悲しいことです。
それはともかく、ある種の出版社や政治団体は出版したり、関わったりしているというだけでその人の現在のレベルがおおよそ分かるのでバカ発見器としては大変有効だと思います。
>ルーズベルト大統領が仕掛けた」
コミンテルン陰謀論ですな
↓このあたりと連携してるんでしょう
アパ日本再興大賞
https://ajrf.jp/taisho/index.html
>日本は誰と戦ったのか コミンテルンの秘密工作を
>追求するアメリカ(KKベストセラーズ)
>江崎道朗