<今回のデマ>
  • デマ:ペンシルベニア州で、選挙結果を無効にして議会が選挙人を選ぶことを決定した。
  • 事実:
    1. 実際はペンシルベニア州下院で共和党員20人ほどが、選挙を無効にする提案をしただけ
    2. トランプ陣営は、州議会が選挙人を選ぶ提案を実際に行ったが、州最高裁に全会一致で一蹴され、「州民690万人の選挙権を奪う異常な提案」と批判された。


↓はてなブックマーク&ツイートをお願いします。
このエントリーをはてなブックマークに追加
(本ブログのスポンサードリンク)

目次

終わらないデマ


いまだにトランプの敗戦を認められない人たちが、今度はこんなデマを流しています。
>>先週ペンシルベニアで“議会の選挙人指名”が決定

>>州議会で多数を占める共和党議員団が選挙人を指名することを決めた

>>つまり選挙人を議会が決める



彼らが言うには、ペンシルベニア州の議会は、選挙結果を無視し、州議会で選挙人を指名することを決めたとのことです。


言うまでもありませんが、もちろんデマです。西村幸祐は「米時間11/27の19:33にペンシルベニア州上院が下した重要決議をなぜ日本メディアは報道しないのか?」とか言ってる人がいますが、デマだから報道しないだけですね。



元ネタは共和党員の提案


デマの元ネタを探していたら、『もえるあじあ』にぶつかりました。『もえるあじあ』もデマしか言わないサイトとして有名で、このサイトでも何度も取り上げています。



『もえるあじあ』ではペンシルベニア州議会のHPがリンクされ、以下のような翻訳がつけられていました。

2020y12m01d_083908624

よって、ペンシルバニア州下院の決議により

1. 2020年11月3日の選挙期間中の郵送による投票、事前投票、および投票に関連した実質的な不正と不適切を認識する。

2. 選挙を規制する合衆国憲法に基づく総会の権限を侵害していることを不支持する。

3. 大統領選挙人に関する2020年11月3日の選挙結果について、連邦長官が時期尚早に認定したことに不服であり、これに同意しない。

4. 連邦における大統領選挙人の選出およびその他の州ごとの選挙戦の結果が争われていることを宣言する。

5. 連邦の長官および知事に対し、大統領選挙人の認証を撤回または取り消し、2020年の総選挙で投票される他の州全体の選挙区での結果の認証を遅らせるよう要請する。

6. アメリカ合衆国議会に、連邦における大統領選挙人の選出が争点となることを宣言するよう求める。
門田と加藤が言っているのはこのことだと思われます。YouTubeでも、これを元ネタにしたデマ動画がありました。(再生数増に貢献するのが嫌なのでリンクは貼りません)

2020y12m01d_085445937
↑「ペンシルベニア州議会は大統領支持」とするデマ動画

これについて、『もえるあじあ』では「きたああああああああああああああああああ」だの「国内五毛サヨクパソナを一掃せええええええええ」だの言っています。

2020y12m01d_084241428
2020y12m01d_084255222


しかし、この州議会のHPのリンクをちゃんと見れば、簡単に事実はわかります。


2020y12m01d_084507432


Memorandum(メモ、連絡)とあり、fromには20人ほどの共和党議員の名前があり、toはAll House Membersと書かれています。さらに、『もえるあじあ』で翻訳されていない部分に、”Please join us in cosponsoring this critical resolution.”(この重要な決議にご賛同くださるようお願いします)とあります。


つまり、これは州議会で決議されたものではなく、単に州下院の共和党議員20名ほどが行った提案にすぎないのです。(追記:上院にも同じ提案が出てました)


こんなバカげた提案をする議員がいるというだけでも驚愕ではありますが、ペンシルベニア州で選挙が白紙になったとか、議会が選挙人を選ぶことが決定したとか、そんな事実は微塵もありません。



州最高裁はトランプの提案を「異常な提案」と一蹴 


最初に「選挙結果を無視して議会が選挙人を選ぶべきだ」と主張したのはトランプ陣営自身です。


↑トランプ信者御用達の『大起元 Epoch Times』

実際、トランプ陣営は州議会が選挙人を選ぶように裁判所に訴えを起こしましたが、あっさり退けられました。


【11月29日 AFP】米ペンシルベニア州最高裁は28日、大統領選の結果をめぐるドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領支持者らの主張を退けた。選挙結果を覆すことはすでにほぼ不可能であったが、トランプ氏はさらに厳しい状況に置かれた。

共和党議員らは、ペンシルベニア州での郵便投票は無効であると主張し、州議会で勝者を決定するよう訴えていた。同州では激戦の末に、民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)氏が約8万1000票の差をつけて勝利している。

最高裁は全員一致でこれらの訴えを退けるとともに、州議会で勝者を決定するとの主張は、「本選挙に投票したペンシルベニア州民690万人の選挙権を裁判所が奪うという、異常な提案」だとした。

ペンシルベニア州では24日にバイデン氏の勝利が公式認定されており、訴訟では認定差し止めも求めていた。

今回と同様の決定はすでに複数下されており、前日27日には連邦控訴裁判所が、選挙に不正がありペンシルベニア州でのバイデン氏勝利を認定しないよう求めたトランプ陣営の主張をきっぱりと棄却した。
ご覧の通り、州最高裁に「異常な提案」とまで批判されています。


ペンシルベニア州で不正選挙があったという根拠は完全皆無ですし、州議会が選挙人を選ぶことになった事実もありません。あるのはそのような提案を州最高裁が棄却した事実だけです。



「トランプ勝利派」の妄言を信じることなかれ


今回のことを見てもわかる通り、「トランプ勝利派」は、もはや明らかなデマにしか頼ることができない状態です。彼らは自分の妄信する陰謀論がマスコミに相手にされていないため「マスコミは一方的報道を続けている」などと言い続けていますが、その主張は常識的判断力さえあればデマだと断言できるものばかりです。


事実とデマが流れたときに、その両方を報道することは、平等な報道ではありません。門田や加藤の理屈であれば、「アポロ11号の月面着陸」を報道するときは、「アポロ11号月面着陸捏造論」も報じなければ「一方的報道」と言うことになってしまいますが、そんなことはありませんね。「バイデンの不正選挙」「トランプ勝利」は、「アポロ11号月面着陸は嘘」「タイタニック号沈没は保険金詐欺事件」「NASAは宇宙人とコンタクトを取っている」と同レベルかそれ以下です。


彼らは自分に都合のいい、自分が新字体報道をしないマスコミを敵視しますが、それはマスコミが彼らの妄想やデマを報道するほど愚かではないだけのことです。もちろんマスコミを鵜呑みにしていいわけではありませんが、みなさんは、これまで紹介してきたような「愛国カルト」やまとめサイトやツイッターからではなく、信頼できる情報源から情報を得るようにしましょう。


OFUSEで応援を送るlogo20220930このエントリーをはてなブックマークに追加
リベラルランキングブログランキング・にほんブログ村へ