<今回のデマ>
  • 『君が代』は私達のご先祖様が、今を生きる私達への想いを紡いだ歌。
  • 「千代に八千代に」は「長い日本国の歴史を踏まえ」という意味。「さざれ石の巌となりて」は「一人一人(個性)を大事にしつつ協力し合って」という意味。
<事実>
  • 『君が代』の初出は『古今和歌集』の「賀歌」の中に収録されており、長寿を祝う歌であり、子孫へ向けた歌ではない。
  • 「千代に八千代に」は相手の長寿を祝う意味であり、「長い日本国の歴史を踏まえ」なんて一言も言ってない。
  • 「さざれ石の巌となりて」は「一人一人を大事にしつつ協力し合う」なんて意味は微塵もなく、「さざれ石の巌となりて苔の生すまで」で一塊。意味は「小さなさざれ石が大きな岩となって、その岩に苔が生すぐらい長い間」という意味で、長寿を祝っている。
  • 『君が代』の「君」はもともと天皇とは限らず、誰と特定されている歌ではなかったが、明治以降、国歌として歌われるようになった『君が代』の「君」は天皇のことであり、「天皇陛下がいつまでもいつまでもご健在であられますように」という意味の歌である。
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↑「君が代の歌詞、意味をご存じでしたか?」と言いながらでたらめの極みのような大嘘。
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「愛国者」のはずが君が代の意味をデタラメに改竄する人たち


五輪が始まり、君が代を話題にしている人がいます。しかし、前回も少し紹介しましたが、相当滅茶苦茶な君が代解釈をしている人が大勢います。こちらをご覧ください。

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これは酷い! 

どこどうやれば「君が代は」が「男性と女性が共に支えているこの世は」なんて訳になるのでしょう!? どこから男とか女とか出てきた!


「千代に八千代に」も「日本の長い歴史を受け継ぎながら」なんて訳して、一体どこに「日本」とか「歴史」とか言う話が出てきたのでしょうか?


別に「君が代は国歌として素晴らしい!」と言うのも、「君が代なんてクソを国歌なんて認めん!」と言うのも、それは各々の意見なのでいいんですが、君が代をどうとらえるにしろ、嘘はいけません。こんなデマで「君が代素晴らしい」とかいうのは言語道断です。


今回はこのデマについて取り上げます。



君が代は長寿を祝う歌であり、「日本の歴史が~」などと一言も言っていない


さて、上で取り上げた2つの画像は、1行目こそ違えと、後はほぼ同じ内容ですね。

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そもそも君が代とは何か。山田孝雄の『君が代の歴史』を元に解説します。

「君が代」は「男性と女性が共に支えているこの世」でも「次世代」ではなく「あなたの寿」


君が代の初出は10世紀初頭に作られた『古今和歌集』です。千年以上も前の歌なんですね。本居宣長は『古今集遠鏡』の中で「君が代」は

「細かい石が大きな岩ほになって 苔の生えるまで 千年も万年も ご繁昌でおいでなされ こちの君は」

という意味だとしています。明治以降、君が代の「君」を天皇と解釈するのが一般的になりましたが、もともとは別に天皇とは限らず、相手の長寿を祝う歌だったのです。


上で紹介したデマ解釈では、「君が代」を「あなたたちの時代(次世代)」などと書いていますが、その時点で。次世代などではなく、「あなたの時代」すなわち「あなたの寿命」「あなたの人生」という意味です。『古今和歌集』の初出では「君が代は」ではなく「我が君は」だったのですが、「我が君」を遠い子孫たちだなんて解釈するのはあまりに無理がありますね。


ましてや、「君が代は」を「男性と女性が共に支えているこの世は」なんて訳するのは、もうデタラメもいいところですね。おそらく最近の性的マイノリティーの権利拡大を批判する連中がでっち上げたのでしょう。


また、『古今和歌集』のなかには光考天皇が僧正遍照の70歳を祝って「君が八千代に逢ふ由もかな」と、君が代を踏まえて送ったと思われる歌が掲載されています。僧侶の70歳を祝って送った歌であることからもわかる通り、これは長寿を祝う歌であって、次世代云々でも、ましてや男女が支える国なんていいでは全くないのです。

日本云々なんて一言も書いてない


上のデマ解釈では、「千代に八千代に」を「この日本国の長い歴史を受け継ぎながら」なんて書いてありますが、もちろん大嘘。なんで「が代」なのに、いきなり話題が国のことになってしまうのか、どこから日本なんて言葉が出てくるのか。愛国者様の愛国解釈は全く意味不明です。


さざれ石の巌となりて」が「一人一人(個性)を大事にしつつ、協力し」なんて書いてありますが、これも大嘘。言うまでもなく、「さざれ石の巌となりて」と「苔のむすまで」は別れず、「さざれ石の巌となりて苔のむすまで」で一つの文です。「小さな石が集まって大きな岩となって、その岩に苔が生すぐらい長い間」という意味です。これを2つに分けて、「さざれ石の巌となりて」を「一人一人が協力する」なんて解釈する人、生まれて初めて見ましたよ。これを二つに分けちゃったら、苔はどこにむせばいいんでしょう?


そもそも、さざれ石が岩となる際に、さざれ石一つ一つの個性なんて欠片ほども大事にされてないだろうに。一つ一つのさざれ石は大きな岩の一部に完全に組み込まれ、身動き取れず、何の主張もできず、個性など何一つ発揮できません。「一人一人の個性を完全に滅して全体の為に尽くす」ならまだしも、何で「一人一人を大事にしつつ協力する」なんて意味に解釈できるのか。理解に苦しみます。


本居宣長の言う通り、この歌の意味は「細かい石が大きな岩ほになって 苔の生えるまで 千年も万年も」あなたの繁栄が続きますようにという、相手の健康や長寿を祝い願う歌なのです。


昔は正月など祝い事や、酒宴のあと、君が代を歌ったりしていたようです。正月や酒宴の席で「あなたたち次世代は 日本の長い歴史を踏まえ~」とか歌うわけがないでしょうが。『曽我物語』『義経記』でも酒宴や舞の終わりに君が代を歌ったと書いてあり、時代やシチュエーションを考えても、「日本の長い歴史を受け継いで個性を大事にしながら日本の繁栄が~」とかいう解釈はあり得ませんよ。


本当に、愛国者様の愛国解釈は『ノストラダムスの大予言』並み。長寿を祝う歌が愛国者様にかかると愛国心を歌ったものになってしまうんだから酷いものです。そういえば、「ジョン・レノンの『イマジン』は神道の歌! 靖国神社をテーマにしている!」とか言ってたやつもいましたね。ジョン・レノンが聞いたら卒倒しそうです。


「『君が代』は相手の健康や長寿を願う歌なのだから素晴らしい」と言うのならわかりますが、それを
「男性と女性が共に支えているこの世は」だとか
「私達のご先祖様が、今を生きる私達への想いを紡いだ歌」だとか
「日本国の長い歴史を受け継ぐ」だとか
「一人一人(個性)を大事にしつつ協力する」だとか、
一言も書いていない大嘘のデタラメを持ち出して素晴らしいとか日本人の誇りとか言い出す。こういう大嘘はいい加減にしてほしい。嘘からは偽物の愛国心しか生まれません。



明治以降、「君」は天皇になった


さて、ここまで見たように、もともと『君が代』の「君」は天皇に限らず、誰でも良かったのです。一般庶民もこの歌を祝いの席などで歌っていたようで、広く庶民に知られていたようです。しかし、現在では一般的に「君」は天皇の意味だとされています。なぜでしょうか?


結論から言いますと、明治以降の『君が代』の「君」は天皇の意味になったと言うべきでしょう。詳しくはこちらに書きましたので、是非お読みください。





「色々な解釈がある」という卑怯な言い訳:自称愛国者にとって、愛国はポルノである


以上のように、「君が代」を愛国の歌のように考えるのはデタラメもいいところです。しかし、愛国者様たちはそのデタラメを批判されるとこうやって逃げます。

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>>解釈も色々ある

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>>分かりやすく解釈し、
>>理解出来るのならば何も悪い事では無いのでは?
>>あなたはあなたの解釈をすれば良いのですから。

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>>「さざれ石のいわおとなりてこけのむすまで」以降は
>>仰る通り「小石が成長して大きな岩となり、それに苔がはえるまで」の意味で、
>>限りない悠久の年月を可視的なイメージとして表現したものだそうです。
>>それを私なりに表現しました。
>>それを良いと思って下さる方が多いだけでは?



このように、
「解釈は自由だ」
「私なりの解釈だ」
「私なりの表現だ」
と、自分の正しさを主張します。


しかし、上記の通り、「男女」なんて言葉は君が代に欠片も登場しませんし、もともと長寿の祝いの歌ですし、「さざれ石の巌となりて苔の生すまで」を「一人一人(個性)を大事にしつつ協力する」なんて解釈は天地がひっくり返ってもあり得ません。こんなデタラメの大嘘を「分かりやすく解釈し、理解出来るのならば何も悪い事では無いのでは?」と言うなどバカも休み休み言ってもらいたい。


走れメロス』を
「男の友情を描いた物語だ」
って解釈してもいいですよ。
「正義とは何かを描いた物語だ」
って解釈しても、まあいいでしょう。しかし、
「『走れメロス』は王様とセリヌンティウスのボーイズ・ラブコメだ」
って言ったら「はあ!!?? お前何を読んだんだ?」ってなるでしょ。


解釈レベルとしては「『ちはやふる』は、花魁の千早が関取の竜田川を振ったという意味だ」というのとかわらない。こんなのは解釈でも何でもなくただのデタラメ妄想。


で、信じがたいのは、こんなデタラメ解釈をまたもや鵜呑みにして感動しちゃう愛国ポルノ大好き愛国カルトたちがいること。
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「学校で教えるべき」とか「教科書に載せてもらいたい」とか、こんなデタラメな大嘘デマを学校で教えるわけがないでしょうが。


全くの大嘘デタラメを鵜呑みにしただけのくせに、「君が代の歌詞の意味が分かり、最近鼻歌で歌うようになっていました」「愛国」「ヘイトスピーチ条例に反対します」とか言っちゃう。何なのこれ。

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本人はプロフィールで愛国者ぶってますけど、『君が代』の意味もデタラメに妄想で改竄してしまう。これのどこが愛国者なのか。本当に愛国心があって『君が代』が好きならば歌詞の意味ぐらい知っていて当たり前。こんなネットのデマ画像に騙されるわけがありません。


彼らにとって愛国はただのポルノです。事実かどうかなんてどうでもいい。結局彼らには愛国心なんてものはなく、自分が気持ちよくなれさえすれば何でもいいのです。デマでも何でも都合がいいものを鵜呑みにして気持ちよくなりたいだけ。


『君が代』を好きだろうが嫌いだろうがそんなものはそれこそ個人の自由ですが、こんなデタラメ大嘘解釈をまき散らすのは愛国でもなんでもない。こういう妄想デタラメに与しないように気をつけましょう。


↓今回参考にした書籍
君が代の歴史 (講談社学術文庫)
山田孝雄
講談社
2019-02-08

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