<この記事で分かること>
  • 「国旗損壊罪は世界の常識」という主張が事実と異なること。
  • G7諸国のうち4カ国(日・英・米・加)に国旗損壊罪が存在しないこと。
  • ドイツの国旗損壊罪が「戦う民主主義」の枠組みで、自由民主主義秩序の存続を脅かす場合に限定して処罰されること。
  • ドイツの基準を適用すれば、ヘイト行為の禁止が国旗損壊罪よりも優先されるべきこと。
  • ヘイト行為を放置しながら国旗損壊罪のみを主張するのはご都合主義でしかないこと。
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「国旗損壊罪は世界の常識」は嘘である


ここまで3回に渡り、国旗損壊罪の危険性について述べてきました。



今回は、国旗損壊罪の支持者がしばしば挙げる「国旗損壊罪は世界の常識」という主張について検討します。

「他の国にある」は導入理由にならない


まず、このブログにもこんなコメントが来ていました。
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>>海外にはある、はい終了


海外の事例は、導入の是非を検討する際の参考にはなりますが、海外にそのような法律が存在する国があること自体は、新法導入の正当性を示すものではありません。この論理を適用すれば、

「アメリカでは銃を自由に持てるから、日本も銃を持てるようにしよう」

「サウジアラビアでは飲酒が禁止だから、日本も飲酒を禁止しよう」

だのなんでも言えます。一方で、普段「移民が入ってくると日本の文化が壊される!」とか言ってる連中が、「日本も外国のようにしよう」とか言うのだからわけがわかりません。「海外にはある」というのなら、まず選択的夫婦別姓同性婚を導入してほしいものです。


「国旗損壊罪は世界の常識」は嘘


次に、これまでの記事と同様、このツイートを基に話を進めることにしましょう。

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>>世界の常識(G7など)
>>「表現の自由」ではない!
>>公共の場での物理的な破壊は「暴力」。
>>これが世界の共通認識。


大嘘である!!

独仏伊に国旗損壊罪が存在するのは事実ですが、G7なら日英米加には国旗損壊罪が存在しません。7か国の内4か国に存在しない国旗損壊罪のどこが世界の常識でしょうか?


Wikipedia情報ですが、旗の冒涜が何らかの形で違法とされている国は50ヵ国ほどあるようですが、オーストラリア、ベルギー、アイルランド、オランダ、ノルウェー、ルーマニア、南ア、スウェーデン、デンマークには存在せず、アメリカでは「テキサス州対ジョンソン事件」で、国旗焼却行為は合衆国憲法修正第1条(表現の自由)によって保護される行為だという最高裁判決が出ています。


残り100ヵ国以上は情報無しです。世界200程の国のうち、国旗損壊罪がある国が50ならば、別に「世界の常識」でもなんでもありません。


欧州の国旗損壊罪はヘイト禁止行為の一環


では、国旗損壊罪支持者が必ずと言っていいほど持ち出す、ドイツの事例はどうでしょうか?

処罰されるのは「自由民主主義秩序の存続が危険にさらされている場合」にのみ

ドイツは「戦う民主主義」(Streitbare Demokratie)という考え方が取られていて、民主的価値観に反する様々な行為が禁止されています。国旗損壊罪もその一環です。逆に言えば、国旗損壊が民主的価値観を毀損すると判断された場合にのみ処罰されるのです。


1990年にドイツの雑誌で軍事宣誓式での国旗に小便をかけるようなコラージュが掲載され、国旗損壊罪に該当するとして裁判になりました。初審では有罪判決が出ましたが、ドイツ連邦憲法裁判所はこの有罪判決を違憲として差し戻し、無罪となりました。


Bundesverfassungsgericht habe jedoch entschieden, daß die Grenzen der Kunstfreiheit nur durch andere oberste Grundwerte der Verfassung gezogen würden und ihre Einschränkung nur im "äußersten Fall" angebracht sei, nämlich dann, wenn der Bestand der Bundesrepublik Deutschland und ihrer freiheitlichen demokratischen Grundordnung gefährdet sei. Die Bundesflagge gehöre nicht zu den obersten Verfassungswerten. In der Verfassung selbst sei sie lediglich zur Bestimmung ihrer Farben erwähnt. Ihre Verwertung im Rahmen eines politischen Kunstwerks könne jedenfalls keine unmittelbare und gegenwärtige Gefahr für den Bestand der Bundesrepublik Deutschland und ihrer Grundordnung bedeuten.

しかし、連邦憲法裁判所は、芸術の自由の限界は他の憲法上の最高価値によってのみ規定され、その制限は「最も極端な場合」、すなわちドイツ連邦共和国とその自由民主主義秩序の存続が脅かされる場合にのみ妥当であるとの判決を下した。連邦旗は憲法上の最高価値には含まれていない。憲法自体に言及されているのは、旗の色を定めるためだけである。政治的な芸術作品における旗の使用は、いかなる場合においても、ドイツ連邦共和国とその憲法秩序の存続に対する差し迫った脅威とはなり得ない
この判決から、自由民主主義秩序の存続を脅かす目的での国旗損壊に限定して処罰されることがわかります。参政党への抗議活動で日章旗に×を描くような行為は、処罰対象とならない可能性が高いです。


決して「日の丸万歳! これを傷つける奴は反日! 許さん!」というような右翼的発想で設けられている規定ではないのです。にもかかわらず、日本ではむしろ民主主義的価値観に反する右翼的な発想の連中がドイツを根拠に国旗損壊罪を主張しており、その姿は滑稽でなりません。

ドイツを参考にするなら、むしろ日章旗や旭日旗は規制対象になりかねない

上記の通り、ドイツでは「戦う民主主義」という考えのもと、日本と違ってヘイトに繋がる様々な行為が禁じられています。これは、ナチスの台頭を許してしまった反省によるもので、ナチス関係はほとんどが禁止されています。例えば、ハーケンクロイツを公共の場で掲げることは違法ですし、車のナンバープレートでも、ナチスを想起させる「NS」「KZ」「HJ」「SS」などを用いることは禁止されています。(それぞれ「ナチズム(Nationalsozialismus)」「強制収容所(Konzentrationslager)」「ヒットラーユーゲント(Hitlerjugend)」「親衛隊(Schutzstaffel)」の略称)


もしもこの考えを採用するならば、ナチスドイツと組んで世界に対して戦争をした時の旗である日章旗や旭日旗は、保護対象どころか逆に規制対象にさえなりかねません。特に旭日旗はヘイトデモでハーケンクロイツと一緒に掲げられるなど、ヘイトに利用されてきました。

(↓ヘイトデモに利用される旭日旗とハーケンクロイツ(参照1参照2))
鍵十字旗を掲げる有門氏ヘイト組み

ドイツでは禁止の「戦う民主主義」において禁止されているヘイト行為が、日本ではほぼ野放しなのです。


もしもドイツを参考に国旗損壊罪を主張するならば、その根本の考えである「戦う民主主義」を導入し、まずはヘイト行為を禁止する法律を整備するのが先です。当然、ヘイト目的での日章旗、旭日旗、ハーケンクロイツの使用は違法化されるべきです。このようなヘイト行為を放置しながら、国旗損壊罪だけ主張するのはご都合主義が過ぎます。

「戦う民主主義」なら高市早苗は違法だし、参政党や保守党は過激派指定だ

上述の通り、ドイツの「戦う民主主義」では、ナチスやヒトラーを礼賛したり、歴史事実を否定したりする行為が規制されています。これなら、高須克也みたいな「ホロコーストは捏造」なんて言うナチス礼賛野郎の犯罪として処罰されます。



また、『ヒトラー選挙戦略』という本を自民党の小粥義雄という男が出したことがありました。

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ヒトラーの手法を高く評価するヒトラー礼賛本だと言われますが、高市早苗はそこに以下のような推薦文を寄せています。
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「候補者と認知された瞬間から始まる誹謗、中傷、脅迫。私も家族も苦しみ抜いた。著者の指導通り勝利への道は『強い意志』だ。国家と故郷への愛と夢を胸に、青年よ、挑戦しようよ!」
また、麻生太郎がナチスの手法について「あの手口に学んだらどうか」と発言したり、ヒトラーについて結果はまずかったが「動機は正しかった」と取れる発言をしていました。



自民党のこのような行為は、犯罪とされるか、犯罪とされないまでも厳しく糾弾されねばなりません。ところが、日本ではこいつらが首相になっているのです。


さらに、ドイツでは極右政党AfD過激派と指定されています。参政党の神谷宗幣はそのAfDと会談していましたが、ドイツの基準ならばデマと差別をまき散らす参政党や日本保守党は過激派に指定される可能性が十分にあります。



このようなヘイト行為やナチ礼賛は放置して、逆にドイツの「戦う民主主義」の考えであれば処罰対象になりかねない高市早苗や参政党が、「戦う民主主義」に基づいた国旗損壊罪を主張するなど、ご都合主義もいいところです。


国旗損壊罪は必要ないし、やるならヘイト禁止を先にすべき


これまで見てきたように、国旗損壊罪は刑法の基本原則である「法益保護」「謙抑主義」の考えに反しますし、国旗損壊罪は世界の常識ではないし、国旗損壊罪があるドイツでもそれは民主主義的憲法価値観の擁護のためです。


ドイツを参考に主張するならば国旗損壊罪のみならず、ヘイト行為禁止を先ず主張するべきです。ヘイト行為を野放しにするどころか、逆にヘイトに積極的に加担している連中が主張する国旗損壊罪など害悪以外の何物でもありません。


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