<ざっくり言うと>
  • 「日本人は残虐な民族じゃないから虐殺なんかしない」という発想は幼稚なお花畑民族主義思想。
  • 虐殺は残虐な民族が起こすのではなく、デマと差別があればどこでも起こりうる。
  • 「日本人は残虐な民族じゃないから残虐行為なんかしない」という発想は、残虐行為が起きたときに「日本人がこんなことするわけがない。外国人がやったに違いない」という差別に容易に結びつく。
  • 歴史事実の指摘を「民族自虐」なんて超絶低レベルで幼稚な発想に矮小化してはならない。「誰が悪い」ではなく「デマと差別は人を殺す」という教訓を学び取らなければならない。
↓「日本人は残虐じゃない」から日本で虐殺なんか起きないと発想する人。この思考こそ、何かあったときに「こんな残虐なことをするのは日本人ではない」「犯人は〇〇人に違いない」となり、最悪の場合「〇〇人が日本人を殺して回っているらしい」「殺られる前に殺れ」という次の虐殺へと繋がる。
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「日本人は残虐じゃない」という理由で歴史事実を捻じ曲げる人たち


前回前々回、関東大震災での朝鮮人虐殺を否定する人たちのことを記事にしました。




その記事に、こんなコメントが来ました。

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>>官憲や一部の民間人が朝鮮人を保護
>>し守ったという証言もあるけど?

これは事実です。こちらのHPには、当時鶴見署長だった大川常吉氏が400人の朝鮮人や中国人を保護した事実が書かれています。



しかし、「朝鮮人を保護した人がいる」という事実は、「朝鮮人虐殺があった」ことを全く否定しません。この人はいったい何が言いたいのでしょう?


答えは明白です。「日本人は残虐じゃない」と言いたいんです。


こちらのツイートもご覧ください。

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>>お前みたいに日本人はそこまで残虐だと考えてないだけw

どうやら、この人たちは、朝鮮人虐殺の事実を指摘することは、「日本人は残虐な民族だ」と主張することだと思い込んでいるようです。そのことは、このようなツイートや、「日本人でよかった」というプロフィールからもうかがえます。


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坂東忠信も同様のことを言っていました。

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>>小学生に憎しみを植え付け民族自虐


彼にとって、朝鮮人虐殺を教えることは、「憎しみを植え付ける」民族自虐を迫る」ものらしいです。


こっちの人も、「在日朝鮮人による日本人虐殺の数々は一切無視して朝鮮人虐殺だけを言う人って本当に日本人なのか」なんて言っています。つまり、「朝鮮人虐殺の話をすることは日本人を非難することだ」って発想なわけです。

ここがこの手の自称保守や自称右翼の発想が間違っているところです。


誰も「日本人は残虐な民族だ」とか「日本人は悪い奴等だ」とか、そんな超絶低レベルで幼稚な下らない主張はしていません!


「民族」に原因を求めるな:「残虐な民族」が残虐行為をするのではない


「日本人は残虐じゃないから虐殺なんかしない」という発想の人は、逆に言えば、「虐殺をするのは残虐な民族だ」と思っていることになります。


では、ナチスドイツによるユダヤ人虐殺は、ドイツ人が残虐な民族だから起きたのでしょうか?


ソンミ村虐殺は、アメリカ人が残虐な国民だから起きたのでしょうか?


ルワンダのツチ族によるフツ族虐殺は、ツチ族が残虐な民族だから起きたのでしょうか?


そうではありません。世界の虐殺事件を見てみれば、世界中のいたるところで虐殺事件があることが分かります。



原因は民族差別だったり政治対立だったり様々ですが、虐殺は世界中どこでも起きうるのです。虐殺事件は残虐な民族が起こすのではありません。


人間はだれしも極限状態では平時では想像もつかない行動を取りうる


上でも引用した「日本人は残虐な民族じゃない(から虐殺なんかしない)」派の人物は、こんなことを言っています。
>>私は新聞に書いてるからとか、
>>周りの皆が言うからとか、
>>先生に教えられたで人殺そうとは思わねえわw



この人は本心からそう言っているのでしょう。しかし、これはお花畑思想と言わざるを得ません。
(というか、ついこの間、我々は、新聞に書いてあるから、周りのみんなが言うから、先生に教えられたから、天皇陛下は神様で、日本の戦争は正しくて、神国日本は絶対に勝つって思い込んで世界を相手に戦争をして殺し合いをやらかしたばっかりではないですか)


「ミルグラム実験」と呼ばれる実験は、「普通の平凡な市民でも、一定の条件下では冷酷で非人道的な行為を行う」ということを証明した実験として大変有名なので、聞いたことがある人も多いと思います。心理学の教科書では必ず載っていると言っても過言ではないでしょう。



正しい情報が得られない密室状態では、誰でも平時では想像もつかないような異常な行動を取りえます。


関東大震災時を想像してみてください。


自分は何にも悪いことをしていないのに、平穏な日常が、一瞬にして崩壊する。

ラジオもない、テレビもない、ネットもない。何の情報もなく、何が起きているのか何もわからない。

自分の家族や、友人・知人が無事かも全く分からない。

どれだけの被害が出たのかわからない。東京だけなのか、日本中がこうなったのか、何もわからない。

そもそも本当に自然発生の地震なのかさえもわからない。

あの大火事は不可抗力で起きたのか? それとも誰かの放火か? 何もわからない。

目の前には数えきれない数の死体。本当に地震で不幸な死を遂げたのか? それとも本当は誰かに殺されたのか? それもわからない。何の情報もない。

そんな風に、まるで信じられる情報がない時に、爆発音がする。

何が起きたのか全く分からないなか、噂が流れる。

「今のは朝鮮人が仕掛けた爆弾が爆発したんだ」

「朝鮮人が暴動を起こしたらしい」

「朝鮮人がこの機を狙って日本人に復讐しようとしている」

「朝鮮人が井戸に毒を入れたらしい。実際に毒を入れているところを見たやつがいる」

「朝鮮人が、生き残ったお前と、お前の家族を殺しにやってくる」



こうなったとき、「殺られる前に殺れ!」と考える人間が出てくるのはむしろ必然とさえ言えるでしょう。


普段から朝鮮人を差別していて、差別意識がある。

同時に、「朝鮮人を邪険に扱っているから、いつか復讐されるんじゃないか」という猜疑心がある。

そこに「朝鮮人が日本人を殺して回っている」というデマが流れる。

こうなれば虐殺が起きるのはもはや必然とも言えます。ですので、朝鮮人虐殺は日本人が残虐な民族だから起きたのではなく、デマと差別が虐殺を引き起こしたのです。ですので、デマと差別には徹底的に抗っていかないといけません。だからこのブログは10年間もデマと差別を批判し続けてきたのです。


デマと差別が虐殺を生む


百田尚樹はこんな発言をしています。
>>もし北朝鮮のミサイルで私の家族が死に、私が生き残れば、
>>私はテロ組織を作って、日本国内の敵を潰していく。
>>「国内の敵」というのは、売国議員と売国文化人である。



なんで北朝鮮のミサイルで家族が死んだのに「自衛隊に入って北朝鮮と戦う」じゃなくて「テロ組織を作って売国議員と売国文化人を潰す」という発想になるのか意味不明ではありますが、非常事態には「敵」と見なした奴を潰す(「殺す」と同義でしょう)と宣言までしています。


加藤清隆や櫻井よしこもこんなことを言っています。
>>日中有事ではこの100万人(の在日中国人)がゲリラと化し、
>>日本国民の生命・財産を脅かす。

「中国で仕事をしている日本企業が事実上、技術供与を強要される可能性があるのみならず、日本に外国人登録をして住んでいる68万人の中国人が、中国国務院と中央軍事委員会の指示で動くという法律です。そうなれば、本国からスパイやテロ、騒乱を含めて、どんな命令が下されるかわかりません。日本に対する敵対行動に68万人が走らされる可能性があるということです」
櫻井よしこ、SAPIO2010年12月15日号
国防動員法(加藤清隆は「国動員法」と言っているが間違い)は、有事には財産や人材を国家が動員できるというものであって、加藤や櫻井の解説は大嘘なのですが、加藤清隆や櫻井よしこは有事には「在日中国人がテロやゲリラになって日本人の生命・財産を脅かす」と思っているわけです。


実際に日中間で何かあったとき、こんなことを思っている奴はどういう行動に出るでしょうか?


「殺られる前に殺れ」ですね。


クルド人が「日本人死ね」って言ってるというデマも流れましたね。こういうデマにより、「クルド人は『日本人死ね』と思っている」と信じ込んだ人が、非常時に情報がない中、「クルド人がこの機を狙って襲ってくる」「実際に既に何人も殺されている」という噂が流れたらどういう行動に出るでしょうか?


「殺られる前に殺れ」ですね。


日本では虐殺なんか起きないと思っている人も多いですが、デマと差別を野放しにしておいたら、いつまた虐殺が起きたって全然おかしくありません。だからデマと差別とは戦わなければならないのです。


「日本人は残虐なことをしない」は残虐行為を外国人のせいにする差別を生む


「日本人は残虐ではない」というお花畑民族主義思想は、裏を返せば、「残虐な行為をするのは日本人ではない=外国人だ」ということです。だからこのような発想は容易に犯罪者の在日認定という差別につながります。





同時に、確実に行為者が日本人である場合は、「残虐行為じゃない」「自衛なんだ」という正当化に繋がります。
>>大災害後に略奪・暴動が発生するのは
>>現代日本以外では常識であり、
>>関東大震災において住民がそれらに怯え
>>自衛したことは無理からぬことであった。
>>朝鮮人や日本人、中国人の遭難
>>そうした異常な状況下での
>>不幸だがやむを得ない事件として捉えるべきである。



差別とデマによる虐殺を「自衛」「遭難」「不幸だがやむを得ない事件」なんて正当化しています。


そして、「日本人が残虐なことをするはずが無い」というお花畑民族主義思想は、
「日本人がこんなことをするにはちゃんと理由があるはずだ」
ー>「朝鮮人暴動は本当なんだ」

という、100年前のデマの復古に繋がるわけです。

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もう「日本人は残虐なことなんかしない」という超絶幼稚な発想は捨てましょう。


同時に、過去の事実を指摘されることを「日本人が非難されている」「日本人を非難するな」なんて超絶幼稚な発想に矮小化するのはやめましょう。


関東大震災での朝鮮人虐殺の事実を語り継いでいる人たちは、「日本人は残虐な民族だ」なんて超絶幼稚なネトウヨレベルの発想で話しているのではありません。


「デマと差別は人を殺す」という話をしているのです。


それを「民族自虐だ」なんて超絶幼稚な矮小化をする奴が、いつまでも何の教訓も得ないで、再びデマと差別をまき散らし、次の虐殺への下地を整えるのです。


虐殺は残虐な民族が起こすのではありません。デマと差別が引き起こすのです。だから我々はデマと差別は絶対に許してはならず、戦い続けなければいけないのです。



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