この記事は2017/10/22の再掲です
<ざっくり言うと>
- 産経新聞、安倍政権批判を「「日本の評判を落とすための活動」だと言う、ネトウヨ同人誌レベルの主張を展開する。
- そして「日本を貶める日本人をあぶり出せ」と私刑扇動。もはや新聞ではなく危険なアジビラである。
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これまでにも産経新聞の卑劣さ、卑怯さ、嘘つきぶり、頭の悪さは、何度も記事にしてきました。しかし、今回は「頭が悪い」なんてレベルではありません。もはや完全なる狂気です。
産経新聞は10月19日の紙面で「日本を貶める日本人をあぶりだせ」というコラムを掲載。タイトルからして、「『反日日本人』を吊し上げろ!」と言わんばかりの、ネトウヨまとめサイト並みの狂気を感じます。そして、その内容は、まさに狂気に満ちたものでした。
まず、産経は、「パナマ文書」の報道に携わっていたマルタ人女性記者が殺害されたことに言及するところから話を始めます。
記者が殺害されたマルタが47位、日本が72位であることに触れ、「日本に対する強い偏見がうかがえる」と述べます。なんで産経新聞が報道の自由度ランキングに言及しているのか、意図は明白です。この「報道の自由度ランキング」は、民主党政権下で11位まで上がったものが、安部政権下で一気に歴代最悪の72位まで落ちたからです。下のグラフを見れば一目瞭然ですが、安倍晋三が政権につくとランキングが下がるのです。
産経が「報道の自由度ランキングは偏見に満ちているから、安部政権下で報道の自由度が下がっていると非難するのは間違いだ」と言いたがっているのは明白です。
しかし、はっきり言って、この時点で既に頭が悪すぎます。前々から思ってるんですが、産経新聞って、入社試験でバカから順に取ってるんじゃないですかね?
まず、マルタで記者が殺害された一件をもって、マルタの報道の自由度が低いと決めつけるのが、頭が悪すぎです。日本でも1987年に朝日新聞が襲撃され記者が2人殺害されています(赤報隊事件)。産経新聞はこういう事実を知らないんですかね? 果たして30年前日本の報道の自由度は低かったんですかね? マルタの記者殺害が、政府の諜報員なんかが行ったことなら大変ですが、個人レベルでの犯行も考えられ、単に治安の問題という可能性だってあるのです。
近年でも、日本でもSEALDsの奥田氏に殺害予告が届くなどの事件がありました。朝日新聞記者に殺害予告が出されたこともあります。治安のよい現在の日本では実行に移されませんでしたが、マルタと日本との違いは、報道の自由度の違いではなく、治安の良さにすぎないかもしれないのです。産経新聞は、そういう単純なことにも頭が回っていません。
また、「日本に対する強い偏見」から日本の報道の自由度ランキングが下がっているのなら、民主党政権下で11位まで上がったことと理屈が合いません。日本への強い偏見が理由なら、安部政権下だけでなく、他の政権でもランキングが下がっているはずです。ところが、産経はそういう単純なことには頭が回りません。どういう思考回路をしているのでしょう。
安部政権下で報道の自由度ランキングが下がったのは、言うまでもなく、安倍政権が特定秘密保護法を制定したり、高市総務相の停波発言などが原因です。
池上彰氏は、高市総務相の停波発言を、「まるで中国政府の発言」「欧米なら政権がひっくり返るほどの問題発言」だと批判しています。また、池上氏によれば、安倍政権ではテレビ局へ政権からの電凸が行われていると言います。今回の選挙中にも安倍晋三は加計学園での報道の在り方を偏向だと文句をつけていました(しかも勘違いで)。一国の首相が自分の意に添わぬ報道を批判しているわけです。こんなんでは、報道の自由度ランキングが下がるのも当然だと言えましょう。
しかし、問題はこの後です。
産経は報道の自由度ランキングが下がっている理由を、安倍政権の姿勢ではなく、「日本人に対する偏見」に求めた挙句、「一部の日本人による日本の評判を落とすための活動が、さらにそれを助長する」と言い出したのです。「報道の自由度ランキングが下がっているのは、安倍政権のせいじゃないよ、『反日日本人』のせいだよ」というわけですね。完全にネトウヨまとめサイトの思考ですが、その「一部の日本人による日本の評判を落とすための活動」の具体例とは、どういうものなのでしょうか。
海外の新聞に載ったとはいえ、政権批判が「日本の評判を落とすための活動」って、どういう頭をしてるんでしょうか。「結果として日本の評判が落ちる」と言っているのではありません。「日本の評判をおとす『ための』活動」だと呼んでいるのです。もう、これ完全にネトウヨまとめサイトの、「反安倍は反日」という姿勢と同じですね。
この理屈で言うと、産経新聞の脳内では、アメリカ国外でトランプ政権を批判するアメリカ人は、アメリカの評判を落とすためにやっていることになってるんでしょうか? パックン(パトリック・ハーラン)なんかはよくコラムなどでトランプ批判をしていますが、彼はアメリカの評判を貶めるためにやってるんですかね?
産経はこのような「偏った」報道のせいで、アメリカの読者は「日本は民主主義が後退する国」という「偏見」を持ってしまうと言っているわけですが、それ、偏見じゃなくて事実じゃないんですかね。選挙やってれば民主主義だなんて思うなよ、産経新聞。プーチン独裁と言われるロシアだって選挙やってんだからな。憲法を無視した時点で独裁だからな。
一つ気になるのは、民主党政権時代に、民主党政権の批判記事がNYタイムズに載ったとしたら、産経はどう言ったでしょうね。その場合は「日本を貶める活動」どころか正義の活動扱いしていただろうという想像しかできないんですがね。
さて、このように、安倍政権を批判をすると反日扱いするという、完全にネトウヨまとめサイト化した産経新聞ですが、その牙はユネスコにも向きます。
もはや完全ネトウヨまとめサイト化した産経新聞の主張は、ユネスコに対して、このような批判を展開します。
ユネスコが「特定の政治主張だけ取り上げる」と言うことこそ、まさに「偏見」そのものでしょう。世界遺産登録をやっているのはどこですか? ユネスコですよ。日本のものが世界遺産に登録されるたびに大騒ぎで歓迎するくせに、慰安婦関連資料が記憶遺産に登録されそうになると、「特定の政治主張だけ取り上げるユネスコ」と批判するとは、ご都合主義にもほどがあります。その慰安婦関連資料に問題があるなら反論をするのは当然としても、それで「登録されたらユネスコから脱退しろ」ってなんと単純な思考か。そんなことすれば、世界から「日本は自分の気にくわないことがあると脱退する幼稚なやつら」とみなされ、それこそ「日本の評判を落とす」ことになると思うんですが。最近トランプがユネスコ脱退を表明しましたが、それでユネスコは組織の抜本改革なんてしましたかね? アメリカの評判が落ちただけだと思うんですが。産経新聞はそういう単純なことには知恵が回らないのです。どういう思考回路しているんでしょうか?
このように、安倍政権を非難すると「日本の評判を落とすための活動」だと言い、「実態からかけ離れた慰安婦像を世界にばらまいた日本人活動家」を非難する産経新聞。
そういう記事や人を批判するだけならいいです。そういう批判も言論の自由の内です。何かを発表すれば、批判や非難があるのは当然のことです。
しかし、このコラムのタイトルは何だったでしょうか。そう、
「日本を貶める日本人をあぶり出せ」です。
単に産経新聞が、他の報道を批判したり、ユネスコを批判したりするだけでなく、「日本を貶める日本人」を「あぶり出す」ことを読者に訴えかけているのです。
これは、完全に私刑扇動です。「あぶり出す」とは火であぶって文字等を浮かび上がらせるように、隠れているものを探し出して明らかにするという意味で、完全に魔女狩りです。産経新聞は「こいつは日本を貶めた」「こいつも日本を貶めた」とリストアップしろ、と言っているわけです。当然「あぶり出」されたら、そこで終わるわけはなく、待っているのは個人情報漏洩などのネットリンチや、嫌がらせ、最悪の場合は物理的な攻撃でしょう。戦前の「非国民」と同じです。
また、こういう「あぶり出し」は、関係ないものまで「反日」として「あぶり出」してしまいます。有名どころでは、「ラッスンゴレライ」で大ヒットした8.6秒バズーカが、「8.6とは原爆投下の日。ラッスンゴレライとは『落寸号令雷』の意味で原爆投下の意味。彼らは原爆投下を歓迎している反日芸人だ」という意味不明な言いがかりをつけられ、ネットで叩かれたことはもちろん、吉本興業にも批判の電話が何件も来たと言います。「日本を貶める日本人をあぶり出せ」と言う産経新聞は、このようなネット私刑を扇動しています。これでも本当に新聞ですかね。
産経が独自に批判を展開するなら別にいいんです。今回みたいに、「NYタイムズに載った記事は左翼による日本を貶める行為だ」というのも、ただの「頭の悪い批判」で済ませられます。しかし、「日本を貶める日本人を『あぶりだせ』」という煽情的な言葉により、ただの「頭の悪い批判」は「狂気に満ちたアジテーション」へと変貌します。これはただの批判ではなく、私刑扇動以外の何物でもありません。自分が「こいつは反日だ」と言う記事を書くのと、不特定多数の読者に向かって「反日日本人をあぶり出せ」と言うのでは、天と地ほどの差があるのです。
また、産経新聞は、このコラムの冒頭で、マルタを引き合いに、「日本の記者でよかった」と言い、日本では報道の自由が確保されていることを主張しています。しかし、産経は、NYタイムズに載った安倍政権批判の記事を「日本の評判を落とすための活動」と呼び、そのようなことをする「日本を貶める日本人」を「あぶり出せ」と読者に呼びかけています。つまり、NYタイムズに載ったような安倍政権批判記事を書けば、「日本を貶める日本人」(反日日本人)というレッテルを貼られ、「あぶり出」されてしまうのです。そうなれば、「反日日本人」のレッテルを貼られるのを恐れ、報道は委縮してしまうことでしょう。
つまり、産経新聞は、日本に報道の自由があることを喜ぶコラムの中で、日本の報道の自由を私刑によって抑圧することを推奨しているのです。
産経はこんな矛盾にも気が付いていないのです。毎度毎度、産経新聞の頭の悪さには恐れ入りますが、その場その場で自分に都合のいいように物事の解釈しているとこうなるのでしょう。安倍政権擁護のために「日本には報道の自由がある」と言った直後に、安倍政権擁護のために「反日報道をするようなやつをあぶり出せ」と言うわけです。何なんですかね、このご都合主義っぷり。
コラムの最初で「日本には報道の自由がある。日本の報道の自由度ランキングが低いのは、反日日本人が助長する日本への強い偏見のせいだ」と主張しながら、NYタイムズに載った安倍政権批判記事を書いた教授を「日本を貶める日本人」と呼び「あぶり出せ」と読者にけしかける。日本の報道の自由を貶めているのは産経新聞自身だろう。日本の報道の自由度ランキングが低い理由の一つは、産経のこのコラムのような考え方が蔓延しているせいもあるんじゃないですかね。
前々から産経新聞の頭の悪さには呆れていましたが、今回は頭が悪いなんてもんじゃありません。私刑扇動という狂気に満ちています。もうそろそろこの新聞は「新聞」を名乗るのを止める時期に来ているのではないでしょうか。
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これまでにも産経新聞の卑劣さ、卑怯さ、嘘つきぶり、頭の悪さは、何度も記事にしてきました。しかし、今回は「頭が悪い」なんてレベルではありません。もはや完全なる狂気です。
産経新聞は10月19日の紙面で「日本を貶める日本人をあぶりだせ」というコラムを掲載。タイトルからして、「『反日日本人』を吊し上げろ!」と言わんばかりの、ネトウヨまとめサイト並みの狂気を感じます。そして、その内容は、まさに狂気に満ちたものでした。
「報道の自由度ランキング」への頭の悪い批判と安倍擁護
まず、産経は、「パナマ文書」の報道に携わっていたマルタ人女性記者が殺害されたことに言及するところから話を始めます。
殺されてたマルタの記者への追悼を述べることもなく、いきなり「日本の新聞記者でよかった」と始まるあたり、さすが産経新聞です。「日本の記者でよかった」「マルタとはどれほど恐ろしい国か」と述べた上で、「国境なき記者団」が発表している「世界報道の自由度ランキング」に異議を唱えます。日本の新聞記者でよかった、と思わずにはいられない。地中海の島国マルタで、地元の女性記者が殺害された。車に爆弾を仕掛けるという残虐な犯行である。彼女は「タックスヘイブン」(租税回避地)をめぐる「パナマ文書」の報道に携わり、政治家の不正資金疑惑を追及していた。マルタとはどれほど恐ろしい国か。
▼今年4月に発表された「報道の自由度ランキング」では47位、なんと72位の日本よりはるかに上位だった。ランキングを作ったのは、パリに本部を置く国際ジャーナリスト組織である。日本に対する強い偏見がうかがえる。
記者が殺害されたマルタが47位、日本が72位であることに触れ、「日本に対する強い偏見がうかがえる」と述べます。なんで産経新聞が報道の自由度ランキングに言及しているのか、意図は明白です。この「報道の自由度ランキング」は、民主党政権下で11位まで上がったものが、安部政権下で一気に歴代最悪の72位まで落ちたからです。下のグラフを見れば一目瞭然ですが、安倍晋三が政権につくとランキングが下がるのです。
産経が「報道の自由度ランキングは偏見に満ちているから、安部政権下で報道の自由度が下がっていると非難するのは間違いだ」と言いたがっているのは明白です。
しかし、はっきり言って、この時点で既に頭が悪すぎます。前々から思ってるんですが、産経新聞って、入社試験でバカから順に取ってるんじゃないですかね?
まず、マルタで記者が殺害された一件をもって、マルタの報道の自由度が低いと決めつけるのが、頭が悪すぎです。日本でも1987年に朝日新聞が襲撃され記者が2人殺害されています(赤報隊事件)。産経新聞はこういう事実を知らないんですかね? 果たして30年前日本の報道の自由度は低かったんですかね? マルタの記者殺害が、政府の諜報員なんかが行ったことなら大変ですが、個人レベルでの犯行も考えられ、単に治安の問題という可能性だってあるのです。
近年でも、日本でもSEALDsの奥田氏に殺害予告が届くなどの事件がありました。朝日新聞記者に殺害予告が出されたこともあります。治安のよい現在の日本では実行に移されませんでしたが、マルタと日本との違いは、報道の自由度の違いではなく、治安の良さにすぎないかもしれないのです。産経新聞は、そういう単純なことにも頭が回っていません。
また、「日本に対する強い偏見」から日本の報道の自由度ランキングが下がっているのなら、民主党政権下で11位まで上がったことと理屈が合いません。日本への強い偏見が理由なら、安部政権下だけでなく、他の政権でもランキングが下がっているはずです。ところが、産経はそういう単純なことには頭が回りません。どういう思考回路をしているのでしょう。
安部政権下で報道の自由度ランキングが下がったのは、言うまでもなく、安倍政権が特定秘密保護法を制定したり、高市総務相の停波発言などが原因です。
池上彰氏は、高市総務相の停波発言を、「まるで中国政府の発言」「欧米なら政権がひっくり返るほどの問題発言」だと批判しています。また、池上氏によれば、安倍政権ではテレビ局へ政権からの電凸が行われていると言います。今回の選挙中にも安倍晋三は加計学園での報道の在り方を偏向だと文句をつけていました(しかも勘違いで)。一国の首相が自分の意に添わぬ報道を批判しているわけです。こんなんでは、報道の自由度ランキングが下がるのも当然だと言えましょう。
しかし、問題はこの後です。
産経は報道の自由度ランキングが下がっている理由を、安倍政権の姿勢ではなく、「日本人に対する偏見」に求めた挙句、「一部の日本人による日本の評判を落とすための活動が、さらにそれを助長する」と言い出したのです。「報道の自由度ランキングが下がっているのは、安倍政権のせいじゃないよ、『反日日本人』のせいだよ」というわけですね。完全にネトウヨまとめサイトの思考ですが、その「一部の日本人による日本の評判を落とすための活動」の具体例とは、どういうものなのでしょうか。
・政権批判を「日本を貶めるための活動」と呼ぶ産経新聞
産経の言うところの「日本の評判を落とすための活動」「日本を貶めるための活動」の具体例とは、このようなものです。
▼米紙ニューヨーク・タイムズに先日、「日本でリベラリズムは死んだ」と題する記事が載っていた。日本の大学教授の寄稿である。安倍晋三首相の衆院解散から現在の選挙状況までを解説していた。といっても、随所に左派文化人らしい偏った主張がみられる。私はこれを読んで、産経新聞のあまりの頭の悪さにクラクラしました。安倍政権批判を「左派文化人らしい偏った主張」と呼ぶのも産経らしいですが、なんと、安倍政権を批判することが、「日本の評判を落とすための活動」だと言うのです。
▼憲法をないがしろにして軍事力の強化を図る首相の姿勢は、有権者の支持を得ていない。最大野党の分裂のおかげで自民党が勝利するものの、政治はますます民意から離れていく、というのだ。米国人の読者が抱く日本のイメージは、民主主義が後退する国であろう。
海外の新聞に載ったとはいえ、政権批判が「日本の評判を落とすための活動」って、どういう頭をしてるんでしょうか。「結果として日本の評判が落ちる」と言っているのではありません。「日本の評判をおとす『ための』活動」だと呼んでいるのです。もう、これ完全にネトウヨまとめサイトの、「反安倍は反日」という姿勢と同じですね。
この理屈で言うと、産経新聞の脳内では、アメリカ国外でトランプ政権を批判するアメリカ人は、アメリカの評判を落とすためにやっていることになってるんでしょうか? パックン(パトリック・ハーラン)なんかはよくコラムなどでトランプ批判をしていますが、彼はアメリカの評判を貶めるためにやってるんですかね?
産経はこのような「偏った」報道のせいで、アメリカの読者は「日本は民主主義が後退する国」という「偏見」を持ってしまうと言っているわけですが、それ、偏見じゃなくて事実じゃないんですかね。選挙やってれば民主主義だなんて思うなよ、産経新聞。プーチン独裁と言われるロシアだって選挙やってんだからな。憲法を無視した時点で独裁だからな。
一つ気になるのは、民主党政権時代に、民主党政権の批判記事がNYタイムズに載ったとしたら、産経はどう言ったでしょうね。その場合は「日本を貶める活動」どころか正義の活動扱いしていただろうという想像しかできないんですがね。
さて、このように、安倍政権を批判をすると反日扱いするという、完全にネトウヨまとめサイト化した産経新聞ですが、その牙はユネスコにも向きます。
・ユネスコ脱退まで言い出す産経新聞
もはや完全ネトウヨまとめサイト化した産経新聞の主張は、ユネスコに対して、このような批判を展開します。
▼特定の政治的主張だけを取り上げる、国連教育科学文化機関(ユネスコ)には、困ったものだ。いよいよ問題だらけの慰安婦関連資料の登録の可能性が強まっている。田北真樹子記者は昨日、登録されたら脱退して組織の抜本改革を突きつけろ、と書いていた。▼そもそも国連を舞台に、実態からかけ離れた慰安婦像を世界にばらまいたのは、日本人活動家だった。何ということをしてくれたのか。
ユネスコが「特定の政治主張だけ取り上げる」と言うことこそ、まさに「偏見」そのものでしょう。世界遺産登録をやっているのはどこですか? ユネスコですよ。日本のものが世界遺産に登録されるたびに大騒ぎで歓迎するくせに、慰安婦関連資料が記憶遺産に登録されそうになると、「特定の政治主張だけ取り上げるユネスコ」と批判するとは、ご都合主義にもほどがあります。その慰安婦関連資料に問題があるなら反論をするのは当然としても、それで「登録されたらユネスコから脱退しろ」ってなんと単純な思考か。そんなことすれば、世界から「日本は自分の気にくわないことがあると脱退する幼稚なやつら」とみなされ、それこそ「日本の評判を落とす」ことになると思うんですが。最近トランプがユネスコ脱退を表明しましたが、それでユネスコは組織の抜本改革なんてしましたかね? アメリカの評判が落ちただけだと思うんですが。産経新聞はそういう単純なことには知恵が回らないのです。どういう思考回路しているんでしょうか?
・日本の報道の自由を貶めているのは産経新聞自身だ
このように、安倍政権を非難すると「日本の評判を落とすための活動」だと言い、「実態からかけ離れた慰安婦像を世界にばらまいた日本人活動家」を非難する産経新聞。
そういう記事や人を批判するだけならいいです。そういう批判も言論の自由の内です。何かを発表すれば、批判や非難があるのは当然のことです。
しかし、このコラムのタイトルは何だったでしょうか。そう、
「日本を貶める日本人をあぶり出せ」です。
単に産経新聞が、他の報道を批判したり、ユネスコを批判したりするだけでなく、「日本を貶める日本人」を「あぶり出す」ことを読者に訴えかけているのです。
これは、完全に私刑扇動です。「あぶり出す」とは火であぶって文字等を浮かび上がらせるように、隠れているものを探し出して明らかにするという意味で、完全に魔女狩りです。産経新聞は「こいつは日本を貶めた」「こいつも日本を貶めた」とリストアップしろ、と言っているわけです。当然「あぶり出」されたら、そこで終わるわけはなく、待っているのは個人情報漏洩などのネットリンチや、嫌がらせ、最悪の場合は物理的な攻撃でしょう。戦前の「非国民」と同じです。
また、こういう「あぶり出し」は、関係ないものまで「反日」として「あぶり出」してしまいます。有名どころでは、「ラッスンゴレライ」で大ヒットした8.6秒バズーカが、「8.6とは原爆投下の日。ラッスンゴレライとは『落寸号令雷』の意味で原爆投下の意味。彼らは原爆投下を歓迎している反日芸人だ」という意味不明な言いがかりをつけられ、ネットで叩かれたことはもちろん、吉本興業にも批判の電話が何件も来たと言います。「日本を貶める日本人をあぶり出せ」と言う産経新聞は、このようなネット私刑を扇動しています。これでも本当に新聞ですかね。
産経が独自に批判を展開するなら別にいいんです。今回みたいに、「NYタイムズに載った記事は左翼による日本を貶める行為だ」というのも、ただの「頭の悪い批判」で済ませられます。しかし、「日本を貶める日本人を『あぶりだせ』」という煽情的な言葉により、ただの「頭の悪い批判」は「狂気に満ちたアジテーション」へと変貌します。これはただの批判ではなく、私刑扇動以外の何物でもありません。自分が「こいつは反日だ」と言う記事を書くのと、不特定多数の読者に向かって「反日日本人をあぶり出せ」と言うのでは、天と地ほどの差があるのです。
また、産経新聞は、このコラムの冒頭で、マルタを引き合いに、「日本の記者でよかった」と言い、日本では報道の自由が確保されていることを主張しています。しかし、産経は、NYタイムズに載った安倍政権批判の記事を「日本の評判を落とすための活動」と呼び、そのようなことをする「日本を貶める日本人」を「あぶり出せ」と読者に呼びかけています。つまり、NYタイムズに載ったような安倍政権批判記事を書けば、「日本を貶める日本人」(反日日本人)というレッテルを貼られ、「あぶり出」されてしまうのです。そうなれば、「反日日本人」のレッテルを貼られるのを恐れ、報道は委縮してしまうことでしょう。
つまり、産経新聞は、日本に報道の自由があることを喜ぶコラムの中で、日本の報道の自由を私刑によって抑圧することを推奨しているのです。
産経はこんな矛盾にも気が付いていないのです。毎度毎度、産経新聞の頭の悪さには恐れ入りますが、その場その場で自分に都合のいいように物事の解釈しているとこうなるのでしょう。安倍政権擁護のために「日本には報道の自由がある」と言った直後に、安倍政権擁護のために「反日報道をするようなやつをあぶり出せ」と言うわけです。何なんですかね、このご都合主義っぷり。
コラムの最初で「日本には報道の自由がある。日本の報道の自由度ランキングが低いのは、反日日本人が助長する日本への強い偏見のせいだ」と主張しながら、NYタイムズに載った安倍政権批判記事を書いた教授を「日本を貶める日本人」と呼び「あぶり出せ」と読者にけしかける。日本の報道の自由を貶めているのは産経新聞自身だろう。日本の報道の自由度ランキングが低い理由の一つは、産経のこのコラムのような考え方が蔓延しているせいもあるんじゃないですかね。
前々から産経新聞の頭の悪さには呆れていましたが、今回は頭が悪いなんてもんじゃありません。私刑扇動という狂気に満ちています。もうそろそろこの新聞は「新聞」を名乗るのを止める時期に来ているのではないでしょうか。
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コメント
しかし産経新聞も壺憑きメディアの記者こそ焙り出される側だろうに、何言ってんだろうな
スパイにとって、こういうネトウヨ共の支持を集めまくれば、いざ戦争になったらこいつら全員に武器持たせたらバカゲリラの完成。内部で勝手に自滅してくれるんやから楽勝やろな。
日本の為になんて安い言葉で扇動する詐欺師的な事を平然とやる
報道機関ならば有益な情報伝える事に尽力すればいいだけ日本人狩りを推奨するのが報道機関の役目ではないと思うがね
常識的を持った日本人はまだまだ滅んでいなかった
「自民党」や「安倍晋三」の事を指している事がよくありますので。
ネットでは「(反政権が多い)記者の主観に基づいたランキングだから」「国境なき記者団が左派寄りだから」という右派やネトウヨの意見を見ます。
ちなみに、韓国でも(相対的に)左派政権より右派政権の方が、報道の自由ランキングが低い傾向らしいです。
「報道の自由度」 韓国は62位に後退
https://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=87788
ただ、それをやると今度はエコーチェンバーが悪化するリスクが付きまとうんですよね
右派は右派系の番組を見て左派は左派系の番組を見るだけですから
なんで、中立的な報道を心掛ける公共放送が必要になって来るんですが
これが難しい
中立的な報道をするには税金を使用せず(税金を使用する場合、政府の圧力に弱くなる)番組を商品として売らず(視聴率とか気にし始めたらスポンサーや顧客からの圧力に弱くなる)番組を作らざるを得ないんですが、今度は監視役がいなくなると組織的な腐敗の温床になる
(NHKの会長が『政府が右と言うからには左とは言えぬ』とか言ったけど、ありゃ公共放送と国営放送を混同している発言で公共放送の基礎を無視した発言)
おっしゃる通りだと思います。ネットと同様に、テレビ報道もエコーチェンバー化が進むでしょう。しかし、左派局の中には「うちは保守系の論客も出演させて、意見を言わせてみよう」、右派局の中には「うちはリベラル系の論客も出演させて、常連の右派コメンテーターと議論させてみよう」みたいな動きも出てくると思うのです。実際、ネットメディアの中には、そのような動きも見られます。視聴者も愚か者ばかりではないので、違う視点の意見も交えた議論を見たいという要望も出てきます。本来、議論としてはそのほうが面白いし、勉強にもなるからです。エコーチェンバー化が進む一方で、左派言論・右派言論にもグラデーションがかかってくるのではないかと予想します。
「中立報道」を放送法で縛り、総務大臣による停波というペナルティを定め、スポンサーの付かない公共放送として制度化するのも、ひとつの道でしょう。一方、自由な放送市場の中で、局や視聴者から「やっぱり、いろんな観点から論じたほうが実りがあるよね」という欲求が出てくるほうが、自由社会にはふさわしい流れのようにも感じます。
アメリカにもPBS(Public Broadcasting Service)という、比較的中立公正を目指している報道機関がありますね。CNNなどと比べると、報道内容の傾向がだいぶ異なるように感じます。